書評:とっぴんぱらりの風太郎

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久しぶりの万城目氏の作品『とっぴんぱらりの風太郎 』です。

書店で見て買おうかと思ったのですが、あまりの大作具合に持ち歩きに困りそうだったので見送っていました。Kindle版がなければ買わなかったでしょう。良い時代になった。

作者初の時代物で、適当そうなタイトルの割りにちゃんとした時代背景もしっかり描かれておりストーリーもシリアスな忍法帖といった雰囲気。どちらかというと忍者としてもぼーっとした主人公が最後ピリリと引き締まるのも作者らしい展開。

長さを感じさせない緩急の面白さで、時代劇とファンタジーの融合した良作でした。

書評: 福家警部補の挨拶

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刑事コロンボの形式と言えばわかりやすいでしょうか。最初に犯罪が描かれて、緻密に練られた犯罪が徐々に突き崩されていくという形式です。トリックは全て読者に最初に提示されるので、読者は捜査側の視点で推理を働かせるのでなく、その蟻の穴ほどのトリックの緩さから犯罪のアリバイが解かれていく様を楽しむというスタイルです。犯罪が緻密であればあるほど、そのカタルシスも大きくなります。

本書は短編なのでページ数が制限あります。その中でトリックの提示と刑事によるトリックのひも解きを行うには、そのトリックの難度が適度でなければなりません。そういう意味では、倒叙スタイルのミステリとしてはライトなノリです。通勤電車で読む短編としては丁度よいかもしれません。

わたしの場合ドラマを先に見ていましたが、最初大きな違和感を感じました。

それは倒叙ミステリでは、トリック提示のため加害者視点か第三者視点で加害者を中心に描かざるを得ません。どうしても加害者に感情移入しやすいストーリー展開となります。本書でも福家自身の描写はほとんどなく、まるで透明人間です。刑事コロンボなどは魅力的ですが、あれは長いシリーズで徐々に描かれた結果です。

ドラマでは、やっぱり壇れいの魅力で成り立っており、倒叙スタイルを採りながら福家の視点で描かれています。警察内での軋轢や二岡との関係など新たを挿入する形になっており、福家自体のキャラクターをより描き込む脚本になっています。もしかすると脚本家は「倒叙ミステリ」を理解してないのではないかと不安になりますが、日本の1クール基本というテレビドラマという性格と壇れいというよい女優さんの配役を考えると適切なバランスなのでしょう。

福家警部補は壇れいにはハマリ役かもしれません。ピーター・フォークのように自身を代表する役になって、続編が続けて作られる状況になればよいかなと思います。

Draft : コメントアウト機能、文章改善機能

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Draftが最近怒濤のように新機能を開発しています。

文章改善機能

これまでも"ASK A PRO"など他のライターに文章の改善を有料で依頼する機能はありましたが、今回は自動で文章を改善してくれる機能です。ついついだらだらと長い文章を書いてしまうことがありますが、この機能を使うとばっさりと文章をシンプルにしてくれるようです。

この機能の使用すると、修正のためのキューに入るようでしばらくするとメールで完了が知らされます。結果は自分の文書が修正されてきますが、Draft自体がバージョン管理の機能を持っているため修正個所も確認できるので安心です。もちろん、元の状態に戻すことも可能です。

英文しか対応していないので、いくつかの英文で試してみました。私の場合多少の言い回しの修正と文の区切りを変えてくれた程度でした。

コメントアウト機能

前回紹介したようにDraftはTo Doコメントの機能を持っていて、もうだんだんプログラムのコードに近い感覚になってきていますが、今回「コメントアウト」の機能がつきました。

書いたセンテンスが気に入らないとき、バージョン管理の機能があるのでばっさり削除してもよいのですが、このコメントアウト機能を使うと本文からは削除され、削除箇所の右側にコメントとして表示されます。"<<"ボタンを押せば本文に復帰させることができます。

たたき台のセンテンスで捨てようか迷っているような段階では結構便利な機能です。

E-Mailでの文書作成

ブログの様にユーザーごとに割り振られているメールアドレスにメールを送るとDraft上に文書を作成してくれるようになりました。

メールの本文が文書の内容となり、添付はAttachmentとして処理されるようです。

書評:Gene Mapper - full build

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少し前になりますが、『Gene Mapper -core- 』と続けて読みました。

遺伝子工学をソフトウェアエンジニアリングのスキームで扱う世界が描かれています。ITエンジニアであればニヤリとする場面が多く登場します。特に最後の主人公の行動はオープンソースなどの動きと照らせばその行動の価値もすぐにピンと来ます。この部分が『Gene Mapper -core- 』の醍醐味であり魅力でした。が、一方で読者を選ぶことも確かで、一般の方には理解しづらい部分でしょう。

今回の『Gene Mapper -full build- 』では編集者の方の目が入り、そういう読者を選ぶ部分が修正されて読みやすくなっています。新たな登場人物も登場しストーリーの展開も多少強引であった部分が補完されているように思います。

そういう意味では同じストーリーですが、ITエンジニアの方でKindleなどで読む方は『Gene Mapper -core- 』をまずお勧めします。ITにそれほど詳しくないという方や書籍で読むという方は『Gene Mapper -full build- 』をお勧めします。どちらかを読んで気に入った方は、もう一方も試してみてください。

わたしは両方Kindleで読みましたが、楽しめましたよ。

ANKER Astro M3モバイルバッテリー

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Amazonで安かったのでANKER Astro M3モバイルバッテリーを購入しました。バッテリーはいくつか持っているのですが、小さそうに見えたので購入してみました。

ANKERは元Googleのスタッフが立ち上げたベンチャーで最近では日本でも人気のバッテリーメーカーとなりました。今回のM3は13,000mAhと容量が格段に大きくiPhoneならば5〜6回はフル充電できそうです。本体はホワイトでAppleの製品やエネループと似た趣です。バッテリー量を示す青いLEDがカッコいいです。また、LEDライトもついているので、災害時にはライトとして活躍できそうです。

パッケージには、高速充電器が標準で付属しています。大容量で充電に時間がかかるのでありがたいです。専用ポーチもついていて、持ち歩きにも便利です。

唯一の問題は、思ったよりデカく重たいことです。細長い形状なので、もっと小さいと思っていたのですが、やはり容量に応じてデカイです。毎日持ち歩くか微妙な重さですが、遠出の際には間違いなく心強い見方になってくれます。

Scrivener 日本語チュートリアル

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以前のWeblogで公開していた記事の転載です

問い合わせが多く、「Windowsで使いたい」という要望が多いので、チュートリアルのアーカイブ形式をMacのディスクイメージ形式からZipに改めました。一応最新のMac版Scrivenerでも開けることは確認していますが、ファイル自体は当時のバージョンのチュートリアルを翻訳して当時のバージョンのScrivenerで作成したままです。個人的にはWindows版には興味がないので開けるかどうか確認していません。

Scriverner-Tutorial-Japanese.zip

先日から[試していたScrivenerだが、すっかり気に入り勢い余ってチュートリアルの日本語訳版を作ってしまった。 作者にコンタクトしたところ、「どうぞ、公開しておくれ!」と快く承諾をもらえたので公開しておく。

チュートリアル自体はわたしが慣れないBritish Englishで書かれているため、微妙なニュアンスは違っている箇所があるかもしれあない。また、チュートリアル自体に関係ない言い回しなどは、端折ったり日本語に合うようにゆがめたりしている。誤りがあれば指摘ください。

Scrivener-Tutorial-Japanese.dmg

ちなみに作者のKeithは豪気にもライセンス進呈を申し出てくれたが、入れ違いで購入してしまっていたわたし......

Notes Inegales obsolete: Scrivener 日本語チュートリアル

OmniOutliner Professional 4

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以前から開発がアナウンスされていたOmniOutliner 4がやっとリリースされていたので、早速購入しました。

昔はMacにバンドルされていた時期もあるようです。わたしもかなり初期からProfessionalバージョンを愛用しています。バージョンアップのため、バージョン3のライセンスを確認したら2005年に購入していました。そこから飽きることもなく使い続けているアプリケーションも数えるほどしかありません。やはり定番ですね。

注意点はアップグレードするためにはAppleのApp Storeで購入したバージョンではダメでOmniGroupから購入している必要があります。彼らもAppleとかなりやりあったようですが、結局App Storeではアップグレードはサポートされないようです。

マイナーなベンダーならばApp Storeで販売することでより広いユーザー層に購入してもらえる機会が増えますから、多くのベンダーがアプリの価格自体を自身のサイトで販売していたときより低く設定しています。よってアップグレードがサポートされなくても、コスト的にはユーザーも恩恵を受けることができます。ところがOmni Groupのようにメジャーなベンダーはそもそも売れているアプリなので価格は据え置きです。よってアップグレードがサポートされず、毎回新規購入が必要となるとユーザーの負担が大きいですね。Omni Groupのアプリは直接購入しましょう。

今回は数年ぶりのメジャーアップデートですが、ユーザーインターフェイスがモダンなデザインに一新されてMarvericks上でも違和感がなくなりました。サイドバーもすっきりして文書の全体の見通しがよくなっています。文書に添付できるファイルの扱いも強力になりました。

まぁ、ぱっとした新しい機能はありませんが、そもそもが完成された感のある高機能アウトラインプロセッサですから、動作モードも64ビット化されUIも最新化されて新しいOSに対応してくれているのは安心ですね。

Draft : プロに頼んでみたよ

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Draft には執筆中の文書をプロに依頼して推敲してもらうというサービスがあります。

今まで試したことがありませんでしたので、試してみました。

一通り自力で英文で30行ほどの文章を起こして、依頼してみました。依頼時に15分(5ドル)か45分(15ドル)の推敲のどちらにするか選択ができます。今回は15分にしました。依頼すると 48時間以内に返答があるとのことです。

待つこと1日。修正版ができ上がってきました。

結果は以下の通りです。

  • 時制の修正。現在完了を使っていた文章について、単純な過去形に修正してありました。
  • 数字(2とか3とか)使っていた部分を、単語に修正してありました( Two, Threeなど)
  • 表現の修正。おそらく英語的に不自然な言い回しや適切でない前置詞の使い方などだと思います。

まぁ、30行程度の英文ですし15分の作業ですから、ヘボな文章が素晴らしく変身するということはありませんでした。しかし、ネイティブの方の目を通して英文作成をサポートしてもらえるサービスとしてとらえると、我々英語が母国語でない人にとってはよいサービスのような気がします。価格もリーズナブルですし。

SpamSieveプラグインの互換性問題の回避方法

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自分への覚書です。 OS XがMarvericksになってから、Mail.app用のSpamSieveプラグインが互換性の問題で Disableにされてしまうという問題で悩んでいます。

SpamSieveの作者の方からパッチを当てた版を何度かいただいたのですが、Marvericksのアップデートが出る度に同じ現象が出てします。

作者の方からアップデートでも改善しなかった場合の手段として教えてもらった方法です。やり方は簡単。

SpamSieveのメニューから「Mailプラグインをインストール」を実行する際、Optionキーを押しながらメニューを選択する。

これだけです!

Draft - 年間Subscribeしてしまったよ

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以前にも書いたWebベースのMarkdownのドキュメント作成サービスのDraftですが、あんまり使ってないなと思いSubscribeを止めようと昨日思い立ちました。ところが、間違って 年間Subscribe してしまったのです。

仕方ないので1年間はもっと積極的に使っていこうと思います。いくつか追加になっている機能もあるので、これぞ便利と思う機能を整理してみました。

クラウドサービスとの連携

編集する文書を Dropbox, Evernote, Box, Google Driveなどのサービスからインポートできます。しかも、インポート後にDraftで行った編集は自動的にインポート元にも反映されます。

たとえば、電車の中でiPhoneでEvernoteを使ってブログ記事の編集を始めたとします。家に帰ってDraftにインポートして書き上げてブログにポストします。書き上げた記事はEvernoteにも完全に同期されていると言うことです。

バージョン管理機能

Draft上の記事は完全にバージョン管理がなされています。

いつでも何世代前の状態に戻ることも、一部マージすることも可能です。

Markdown Mode

一般的なMarkdownモードをサポートしていますが、いくつかの拡張がなされています。

脚注を入れることも可能です。

執筆中に「あとでこの部分を見直そう」ということがあります。そんな場合プログラミングでよくやるようにToDoコメントを入れることができます。

TODO

通常のコメントも入れることができます。誰がどの部分に対してコメントをいれたかわかるようになっており、コメントに対して返信を行うこともできます。共同執筆の際には、校正に使えそうな便利な機能です。

また、通常のMarkdownではTabは無視されますが、DraftではBlockquoteを使ったインデントに用いることができます。

そして表もサポートされました。 テキストで表を作っておくと、

表を描くようなHTMLを生成してくれます。

ベンダー OS
Apple iOS
Google Android

フォルダ

いつの間にやらフォルダがサポートされておりました。これで書いた文書をフォルダに整理することができるようになっています。わたしは執筆中のドラフトはinboxに入れておき、脱稿したら月別のフォルダなどの移動させるという使い方をしています。

パブリッシュ/エクスポート

Draftでは書いた文書をブログなどにパブリッシュすることが可能です。現在サポートされているパブリッシュ先は以下の通りです。

ちょっと微妙なのが、MarkdownがHTMLに変換されずにそのまま書き出される仕様だったりするので、今一つ使い勝手が悪いです。わたしが使っているPostHavenはAPIを公開していないので、当然ですがサポートされていません。今のところ、わたしはHTMLにエクスポートしてそれをPostHavenにポストするようにしています2。

エクスポートとしては、テキストそのまま(Markdownもそのまま出力されます)、HTML、PDF、Kindle(.Mobi)、EPUB、Word、Google Docs と幅広くサポートされているので、執筆ツールとしては申し分ないです。

PostHavenに直接ポストすることができないので、Draftの作者の方にメールへのエクスポートをお願いしたところ検討いただけるとのことでした。

まとめ

まだまだ書き足りませんが、いやぁ、こうやってみると、なかなか便利なサービスではありませんか。しばらくBlogの記事はこちらで執筆してポストすることにしました。今回は画像もDraftで処理したので画像のポスト場所がDraft側になってしまっています。ちょっとこの辺は運用を考えなければなりません。