クラウド時代の新提案:UGREEN NASが変える個人データストレージの未来
圧倒的なコストパフォーマンスに惹かれて数あるNAS製品の中からUGREEN NASync DXP2800を購入しました。
実際にWD Red Plus 4TB HDDとSamsung SSD 1TBを搭載して2ヶ月間使用した結果、従来のNASの概念を覆す「パーソナルクラウド」体験を得ることができました。中国メーカーという懸念点も含め、購入検討者が知りたいリアルな使用感と評価をお伝えします。
1. なぜUGREEN NASを選んだのか - 他社との決定的な違い
NASの購入を検討し始めた当初、選択肢はほぼSynologyかQNAPの2択でした。 特にSynologyのDSMは完成度が高く、DS224+あたりを購入するつもりでいました。
しかし、最近クラウドファンディングで話題になったUGREENのNASが気になりました。 同等スペックのSynology製品と比較すると、UGREEN NASync DXP2800は大幅に安価でした。この価格でIntel N100プロセッサ、8GB DDR5メモリ、2.5GbEポート、デュアルM.2スロット HatebloGuuterublogが標準装備されているのは驚異的です。
特に印象的だったのは、他社の同価格帯製品が1GbEポートしか搭載していない中、2.5GbEポートを標準装備していること。将来的なネットワーク環境のアップグレードにも対応できる先進性がありました。
また、工具不要の可動式ドライブトレイは、片側のラッチを押すだけでHDD交換ができる革新的な設計で、これまでのNASにはない使いやすさでした。
確かにソフトウェアの成熟度ではSynologyに軍配が上がりますが、個人用途であれば十分な機能を持ち、何より高性能ハードウェアを手頃な価格で手に入れられる魅力は他社では得られません。この新しい選択肢を試してみる価値があると判断しました。
2. 開封から初期設定まで - 驚くほど簡単だった導入体験
梱包を開けてまず感じたのは、想像以上にしっかりとした作りでした。アルミニウム合金製の筐体は手に取ると適度な重量感があり、同価格帯の他社製品でよく見られるプラスチック製とは明らかに異なる質感です。
付属品は必要最小限ながら充実しており、CAT 7 LANケーブルが2本、電源アダプター、そして小さなドライバーとSSD用のネジが含まれていました。個人的には、多くのメーカーが標準的なCAT 5Eケーブルを付属させる中、より高品質なケーブルを同梱している点に好感が持てました。
今回はストレージとして、WD Red Plus 4TB HDDを2台でRAID 1構成による冗長化を行い、キャッシュ用にSamsung 990 EVO Plus 1TB SSDを2台搭載することにしました。
HDDの取り付けは本当に簡単でした。「HDDの取り付けもドライブトレイにカチッとはめるだけなので簡単」という評判通り、可動式のトレイ機構により工具を一切使わずに固定できます。従来のNASでよくある「両側から挟み込む」方式と比べて、操作の直感性が格段に向上していました。M.2 SSDの取り付けも、底面のパネルを開けて付属のドライバーで固定するだけの簡単な作業でした。
初期設定については、専用アプリ「UGREEN NAS」をダウンロードし、電源とLANケーブルを接続後、アプリが自動的にNASを検出。あとは画面の指示に従ってアカウント作成とRAID設定を行うだけで、数分でセットアップが完了しました。
特にRAID設定では、搭載したドライブ数に応じて推奨設定を提案してくれるため、RAID初心者でも迷うことなく適切な構成を選択できました。これまでNAS設定に感じていた「敷居の高さ」が完全に払拭されておりNon-Techな人にもお勧めできると思います。
3. 実際の使用感とパフォーマンス - 期待通りだった点と意外だった点
使い始めて最初に実感したのは、Samsung 990 EVO Plus SSDをキャッシュとして活用した効果でした。頻繁にアクセスするファイルの読み込み速度が劇的に改善され、写真の閲覧やプレビュー表示がほぼ瞬時に行われるようになりました。外付けHDDを使っていた頃とは別次元の快適さです。
HDDの寿命を延ばすため、UGOSの電源管理機能を活用して深夜帯は自動シャットダウンし、朝に自動起動するスケジュールを設定しました。24時間稼働が当たり前のNASにおいて、このような細かな電源制御ができるのは意外なメリットでした。
2.5GbEポートについては、正直なところ家庭内がWiFi環境のため、その恩恵を実感する機会はありませんでした。将来的にネットワーク環境をアップグレードした際の保険として考えています。
意外だったのは、UGOS(UGREENのOS)の完成度でした。まだベータ版でサードパーティアプリ対応が限定的という情報を事前に得ていたため、基本機能だけでも使えれば良いと考えていました。しかし実際には、ファイル管理、写真の自動整理、リモートアクセスなど、日常的に必要な機能はしっかりと揃っており、想像以上に実用的でした。
そして何より感じたのは、従来のNASの概念を超えた「パーソナルクラウド」としての使用感です。GoogleドライブやiCloudのようにブラウザやアプリから直感的にファイルにアクセスでき、外出先からも自宅のデータにシームレスに接続できます。従来のNASが「ネットワーク上の高機能な外付けHDD」だったとすれば、UGREEN NASは「自分専用のクラウドサービス」を家庭内に構築したような感覚で使えるのが最大の魅力だと感じました。
4. 総評 - このNASは「買い」なのか?
結論から言えば、UGREEN NASync DXP2800は間違いなく「買い」です。特にNAS初心者や、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとっては、現時点で最有力の選択肢の一つと言えるでしょう。
最大の魅力は、やはり価格に対するハードウェアスペックの高さです。同価格帯の他社製品では到底得られない性能を手に入れることができ、将来的な拡張性も十分に確保されています。また、従来のNASの「難しそう」というイメージを払拭する使いやすさは、多くのユーザーにとって福音となるはずです。
ただし、購入前に検討すべき点もあります。UGREENは中華メーカーということで、独自OSのバックドアを懸念する声もあり、セキュリティに対する考え方は人それぞれです。企業の機密データや極めて重要な個人情報を扱う場合は、実績のあるSynologyを選ぶ方が安心かもしれません。一方で、家庭用途の写真や動画の保存が主目的であれば、過度に心配する必要はないでしょう。
ソフトウェア面では確かにSynologyのDSMと比べると発展途上の部分もありますが、UGOSは頻繁なアップデートで機能改善が続けられており、日々進化を続けています。個人用途であれば現状でも十分な機能を提供しており、今後のアップデートでさらなる改善が期待できます。
何より、GoogleドライブやiCloudに月額料金を払い続けることを考えれば、初期投資でプライベートクラウドを構築できるメリットは計り知れません。データの完全なコントロール権を持ちながら、クラウドサービスと同等の利便性を享受できるのは、まさに理想的なストレージ環境と言えるでしょう。
NAS市場に新風を吹き込む注目すべき製品だと評価していますし、購入してよかったと思います。