読了『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』
なんだか話題だったので、少し時間が経ちましたが『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー(Tomorrow and Tomorrow and tomorrow)』を読みました。
ゲームと現実の対比に対する違和感
「Tomorrow and Tomorrow and Tomorrow」は、「ゲームと現実の対比」や「現実的なストーリー展開」が評価されているようです。 つまり「ハリウッド曲線」でなく恋愛が起こったり奇跡が起こったりしない作品です。
しかし、私自身はその点にあまり共感できませんでした。
確かに現実的なストーリーが描かれているのですが、それが故に読後に「だから何?」という感想が残ってしまい、ただ誰かの人生を書き取ったように感じてしまいました。登場人物たちが極端で誰一人として、感情移入できなかったこと影響していると思います。
そのため、物語の意図があまり響かなかったのです。
多くの人が高評価をしているようですが、その実、書評を見てもあらすじをなぞるものが多く、 ストーリーから受ける感銘がない人も少なくないのではないかと感じました。
Bill Gatesなどがブログ記事で 持ち上げたりしたので、追従しているだけなのではと訝しんでしまいました。
1980年代から90年代のゲーム文化への懐かしさ
一方で、1980年代後半から1990年代にかけてのゲーム文化が描かれている点には、個人的に懐かしさを覚えました。
この時代は、個人がゲームクリエイターとして名を上げることができた時代であり、Bill Gatesなどと同じ世代として、その雰囲気をリアルに感じ取ることができました。そう意味でBill Gatesが 感銘を受けた気持ちはわかります。
特に、当時のゲーム業界の熱気や技術的な進化を知っている読者にとっては、 この部分が本作の魅力の一つと言えるでしょう。
まとめ
多くの人が評価するポイントとは裏腹に、私にはその現実的なストーリー展開があまり響きませんでした。しかしながら、1980年代から90年代にかけてのゲーム業界を描いた部分には懐かしさを感じ、その時代背景を知る読者には共感できる要素も多い作品だと思います。