11年ぶりのメジャーバージョンアップ Logic Pro

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Logic Pro

Apple の音楽制作ソフト Logic Pro 11がリリースされました。 Logic Pro Xがリリースされたのが2013年7月16日なので、11年ぶりのメジャーバージョンアップです。

主な変更点は、次の3点です。

  • 音源を楽器ごとに分割できる Stem Splitter
  • 演奏を自動生成してくれるSession Player
  • 新しいエフェクト ChromaGlow

Session Playerを使った曲を作ってみました。 リードギター以外のキーボード、ベース、サイドギター、パッドはすべてSession Playerによる自動生成です。

Yostos · OYASUMI (take2)

Logic Pro 11 の新機能全体像

今回のLogic Proのバージョンアップでは、Stem SplitterやSession Playerなど AIを使った機能が取り入れられ最新の音楽の作り方に対応できるようになりました。

Stem Splitter

ミックスダウンされている音源から楽器ごとに音を取り出して分離することができます。 2年ほど前に公開されたthe Beatlesの映画『Get Back』で当時の酷い録音から 楽器ごとに音を分離して加工する処理がされていましたが、あれですね。 AIの技術が使われているのだと思います。

例えば、既存の曲からボーカルなどのパートを取り出して自分で伴奏を付けたり、 逆に伴奏を残して自分で歌ったりということが可能になります。

私は同様の機能を持つRipX DAWというソフトウェアを使っています。 こちらの専用ソフトを比べると以下のような点で若干物足りなくはあります。

  • RipX DAWは分離単位を細かく指定できるが、Stem Splitterはヴォーカル/ベース/ドラ ム/その他からの選択しかできない
  • RipX DAWは分離したあと、個別の音について分離先のStem変更や音程変更など編集が 可能となりますが、Step Splitterは分離のみで編集機能ありません。

特にベースとドラム以外の楽器は一緒くたに「その他」に入ってしまうので、 ギターを弾く私の場合は使えるシーンが限定されます。

とは言え、以下ような点では他社製ソフトウェアよりかなりアドバンテージがあります。

  • Appleのハードウェアに特化しているので、曲の分析に数分掛かってしまうRipX DAWに対してStem Splitterは数秒で処理が完了する。
  • Logic Proの無料で付属する
  • Lgico Pro内で処理が完結する

今後少なくともギターとキーボード等が個別に分離できるようなれば、 他社製ソフトウェアは不要となります。

Session Player

曲に合わせて自動的に楽器演奏を生成出来る機能です。

ドラムについては Drum Playerというドラム演奏を自動生成する機能がついていましたが、 今回はBass PlayerとKeyboard Playerが追加されました。

ドラムはテンポだけで生成できますが、ベースやキーボードは曲のコード進行が必要なので コード進行を入力することができるようになりました。ベースとキーボードは曲のテンポと コード進行を元にスタイルを指定することで演奏を自動生成します。

Keyboard Playerについては、演奏方法について Free, Broken Chords, Block Chords, Arpeggio, Simple Padから選択し、 さらにスタイルを選択します。これらをうまく設定して音源を変更すればギターや ストリング、サックスなどの伴奏も生成できます。

ChromaGlow

ChromaGlowはAIとMシリーズAppleシリコンのパワーを最大限に活用したプラグインで、 評価の高いスタジオ用ハードウェアをモデリングしたものでリアル感をトラックに 追加できます。

実際に試してみると、確かに真空管独特のサチュレーションやコンプレッション感が 再現されており、特有の温かみや存在感を演出できます。

Logic Pro 11で変わる楽曲制作

Logic Pro 11は最新のAI技術を取り入れています。

音楽の世界にもAI技術の適用がどんどん進んでいるので、 Logic Pro 11も含めてAI技術を活かすと、例えばこんなことができるようになります。

  1. AI歌詞作成サービスShikakiを使ってキーワードから 歌詞を自動生成
  2. AI音楽生成サービスUdioを使って歌詞に合わせた楽曲を生成
  3. (ここからLogic Pro) Logic Proに取り込んで「リージョンのテンポをプロジェクトテンポに適用」を使ってプロジェクトのテンポを合わせる
  4. Udioで生成した楽曲のトラックをStem Splitterで楽器ごとにトラックに分割
  5. 不要な楽器を削除して、Session Playerで自動生成して気に入ったスタイルに変更

以下は前半はUdioで生成したそのまま、後半はヴォーカル以外を削除してSession Playerで自動生成したものです。こんなことが10分程度でできてしまいます。

Yostos · Sora

そもそも、Udioで生成する楽曲自体の完成度の高さには驚かされます。

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