読了『幸福の「資本」論』
一々言わない若年層FIREの人たちに対して思うリスクとい うのは、自分の経済を縮小均衡させて引退したいと思うタイプの人が多いの で、選択肢が変わった時に取りうる手を自ら減らすという行為だとは思ってい ます。…
— えふしん (@fshin2000) May 8, 2024
有名なエンジニアのえふしん氏のツイートを見て、橘玲氏の『幸福の「資本」論』を思い出しました。
えふしん氏のFIRE観
『幸福の「資本」論』 に沿ってえふしん氏の意見を考えてみます。
- 『幸福の「資本」論』では、人の幸福は(1)自由、(2)自己実現、(3)共同体=絆の条件から成り立っている。
- 同じく同書では、これらの条件は(1)金融資産、(2)人的資本、(3)社会資本というインフラに対応している。
- 同じく同書によると、勤労とは人的資本を投下して金融資産を増やしているという行為です。
えふしん氏の懸念を上記の観点で言い換えると以下のようなことかなと思います。
- 最低限自由が確保できる金融資本からの収益で均衡縮小している。つまり経済状況が変わると金融資本を消化していくしかなくなる。
わたしの違和感
FIREという歳でもないのでどうでもいいのだけれど、なんとなく違和感があるのはなぜでしょう。
もっともだと思う一方で、金融資産にフォーカスするあまり他の幸福の条件をあまり考慮されていないのかなと思いました。
FIREという状態は、「誰にも、何ものにも隷属しない状態」を得る経済的独立は達成している訳です。これ以上の金融資産に意味があるのかと疑問があります。もちろん、経済状況が変わった場合に、より金融資産が必要となるリスクがあるのは分かります。
FIREというい状態は、人的資本により金融資産を得ることを止めすべてを自己実現に投資できる状態とも言えます。仕事が自己実現に繋がる人は仕事(人的資本で金融資産を得る)ことを続ければよいと思いますが、そうでない人も多いので幸福の観点からはFIREで得た自分の時間を自身の好きなことに使うのは意味があるのではないか
また、自由や自己実現は幸福の条件ではありますがこれらは相対的なものだったり社会での評価に依存しており、最終的には「幸福」は社会資本からしか生まれないと同書の中では語られています。そして以下のことが導き出されています。
社会資本の最適なインプットによって、もっとも大きな幸福感がアウトプットできるよう人生を設計すればいい
橘 玲. 幸福の「資本」論あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」 (Japanese Edition) (p.188). Kindle 版.
そして、社会資本のアウトプットとは共同体=絆、人間関係です。人間関係は「愛情空間」「友情空間」「貨幣空間」に分類できるそうです。 働いている間は主に「貨幣空間」での人間関係が増えていきますが、人間の主観的には「愛情空間」や「友情空間」の人間関係のほうが重みがあります。
であれば、人生のある時期から「愛情空間」や「友情空間」の人間関係にフォーカスすることをしてもよいのかなと思います。そのためのFIREを「縮小均衡」と呼んでしまうのは何か引っかかるものがあります。