なぜストラトキャスターか

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Stratocaster vs Les Paul

最近ストラトキャスターを続けざまに購入してしまいましたが、 なぜ現代はストラトキャスターなのかを勝手に考察してみました。

かつてのレスポールの人気

私がギターを手にした1970年代は、 FenderのストラトキャスターとGibsonのレスポールは すでにエレクトリックギターの象徴的なブランドとして認知されていました。 しかし、少なくとも日本ではレスポールに憧れる人が目立っていたように思います。

主に、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジといったギターヒー ローたちがレスポールを愛用していたこと(実際にクラプトンは後にストラトキャス ターを主に使うようになりましたが)、そして当時流行していたハードロックが求める ハイゲイン、厚みのあるサスティーンがレスポールの特徴である重厚なボディとハム バッカーピックアップに適していたため、レスポールが好まれたと考えられます。 エフェクターの選択肢が限られていた時代には、ディストーションサウンドを得やすい レスポールが特に重宝されました。

スーパーストラトの時代

しかし80年代後半から様子が変わってきます。 「スーパーストラト」の登場です。

1980年代半ばから1990年代初頭にかけて、音楽シーンはさらなるハイゲインとテクニカルなプレイを求める方向に進化しました。このニーズに応えるため、ストラトキャスターの形状をベースに、ハムバッカーピックアップやロッキングトレモロなどのモディファイを施した「スーパーストラト」が登場します。

これらの改良により、ストラトキャスターはより幅広い音楽ジャンルに対応できるようになり、特にシュレッドギターの流行とともにスーパーストラトはレスポールに替わって大いに人気を博しました。

ストラトキャスターの現代的再評価

1990年代半ば以降、音楽のトレンドはグランジ、ニューメタル、オルタナティブメタルへと移り、ギターの役割も変化しました。テクニカルなソロよりも、バンド全体のサウンドに溶け込むギターワークが求められるようになります。この変化に伴い、スーパーストラトと廃れオリジナルのストラトキャスターが再び注目され始めました。

ストラトキャスターのクリアで多様なトーン、演奏性の高いデザインは、バンドサウンドにおける幅広いニーズに対応可能で、現代の音楽シーンでのストラトキャスターの人気を後押ししています。エフェクター技術の進化もあり、シングルコイルピックアップの持つ繊細なサウンドを生かしつつ、必要に応じて豊かなサスティーンを得ることも容易になりました。これらの要因が合わさり、現代ではオーソドックスなストラトキャスターが多くのギタリストに再評価されています。

ストラトキャスターの美点

ストラトキャスターはその独特のデザインとサウンドで、多くのギタリストから愛されています。ここでは、ストラトキャスターが持ついくつかの魅力的な特徴を詳しく見ていきましょう。

ストラトキャスターの生みの親であるレオ・フェンダーは楽器が弾けなかったため、 以下に上げるような特長は工業的な理由から採用した構造がたまたまサウンド的にもよい方向に働いたと 言われています。

シングルピックアップ

かつてシングルコイルピックアップは、その軽いサスティーンやハムバッカーに比べた時の出力の低さが弱点とされていました。しかし、そのシャープで繊細な音色は、倍音を豊かに含み、現代の音楽においてはむしろ魅力的な特徴となっています。エフェクターの進化により、必要に応じてサスティーンを補強することも容易です。

サウンドバリエーション

ストラトキャスターはピックアップが、フロント、センター、リアを3つあります。 ピックアップの組み合わせで、次のようなバリエーションを作れます。

  1. フロントのみ
  2. フロント&センター
  3. センター
  4. センター&リア
  5. リアのみ

特に、フロントとセンター、またはセンターとリアのピックアップを組み合わせる「ハーフトーン」設定では、フェイズ・インによる透明感のあるホロウな音が特徴です。このようなサウンドの多様性は、様々な音楽ジャンルに適応しやすいという点で、現代の音楽シーンにもマッチしています。

個人的にはフロントとセンターのハーフトーンが大好きです。

また、ストラトキャスターは基本的にはソリッドボディですが、ピックアップが大きくザクリが入った部分に 配置され、しかもピックガード側に固定されボディからは浮いているため、ボディの振動を受けず弦の振動を よりダイレクトにキャッチします。このような構造上の特徴により、 よりクリアでレスポンスのよいトーンを生み出しています。

扱いやすいボディ

ストラトキャスターは、レスポールと比較して薄く軽量なボディを持っています。使用されている木材は、スワンプアッシュやアルダーなどの比重が低いものが選ばれており、長時間の演奏でも疲れにくいという利点があります。

ギター 木材 比重
レスポール メイプル 0.65
マホガニー 0.55
ストラトキャスター スワンプアッシュ 0.42
アルダー 0.43

また、ストラトキャスターはコンター加工1がなされており演奏時にギタリスト体にフィットしやすく、 演奏時の快適性が向上しています。 これに対して、伝統的なレスポールはコンター加工されていません。2

まとめ

ストラトキャスターは、そのユニークなサウンド、多様な音色、そして演奏のしやすさにより、幅広いジャンルと世代のギタリストに選ばれ続けています。

シングルコイルピックアップが生み出す繊細で豊かな音色、多彩なサウンドバリエーション、そして快適な演奏性は、ストラトキャスターを時間を超えて愛される理由です。

音楽の変遷に柔軟に適応し、常に新しい表現の可能性を提供するストラトキャスターは、これからも多くの音楽家にとって不可欠な楽器であり続けるでしょう。


  1. ギターを演奏する際に体(主に肋骨や肘)にあたる部分へのストレスを軽減するために、ギターのボディ部分を滑らかに削り落とす加工。 

  2. ヤマハのSGはレスポールに近いモデルですが、コンター加工されていました。ところが最新モデルはコンター加工が端折られているのでなんだか購入する気がしません。 

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