『Bug News』創刊号〜1985年12月号
学生時代に読んでいた 『Bug News』という雑誌を入手しました。
『Bug News』とは
『Bug News』とは『遊撃手』という雑誌の後継として創刊された雑誌です。 サブタイトルが「サルと人とコンピュータ」となっています。
『遊撃手』は1984年5月創刊で海外のゲームを中心に扱いつつ、テキスト中心の構成で 当時のパソコン雑誌と一線を画していました。
当時はパソコンのゲームは米国が先行していました。例えばRPGでは日本ではドラクエなど 発売されておらず、やっと米国のWizardryが日本のPCに移植されて「RPGってジャンルがあるんだって!」という感じだったと思います。 このため、パソコンゲーム先進国の米国の情報はある種のマニアは注目していました。
ただ、ジャンルもマニアックでテキスト中心ということでマニアの支持はあったものの 一般受けせずに1985年1月には休刊してしまいます。
『Bug News』は新たなスポンサーを得て『遊撃手』と同じ編集長で出版社を河出書房新社に 変えて新たに創刊されたものです。PCゲームも扱いスタイルも継承しつつ、 PCを中心にジャンルを広げた記事内容になっています。
当時米国のゲーム事情や他のPC雑誌とは違う切り口の記事が読みたくて、創刊から 一時期読んでいました。
『Bug News』の記事
今回入手したのは創刊号〜1985年12月号までの5冊です。 各号から気になる記事だけ拾ってみました。
憧れのMacintosh
創刊号から何号かは前年の1984年に発売されたMacintosh1の紹介に多くの記事が 割かれていました。裏表紙には当時Appleの代理店だったCanonのMacintoshの広告が あります。60万円近くしてたんですね。
他のパソコン雑誌ではMacのGUIにフォーカスした記事が多かったのに対して、 Macintoshの具体的な使用法や思想などの踏み込んでいたのを覚えています。
一番印象的なのは、Macintosh上でポスターを作ってみるという記事が創刊2号にあるのですが、 この記事を読んでマジでMacintoshを買おうかと悩んだぐらい驚きました。
- スキャナーすら一般的ではなかったのでThunder Scanで絵を取り込んだり、Mac Visionでテレビから画像を取り込んだりできるなんて夢のようでした。
- Mac Visionの取り込み画像、Mac Drawの作画、Thunder Scanの取り込み画像、Mac PaintのグラフィックをMac Write上で統合するなんて、当時は他のパソコンでは真似できない芸当だったので度肝を抜かれました。
これら一連の記事で、Macへの憧れが当時すり込まれたと思います。
パソコン通信
「パソコンネットワーク」や「解剖コンピュサーブ」などパソコン通信に関する記事が 多いのに驚きます。
1985年はASCIINETがやっと試験運用が始まり個人運用されているBBSが出てきており 「これからパソコン通信!」という気運はあったと思いますが、当時はRS-232Cインタフェース すらオプションで、漢字ROM2、通信ソフト、音響カップラー(モデムもあったけど高かった) 揃える必要があり、なかなかハードルが高かったと思います。
他紙と異なるのは、CompuServeやThe Sourceなど米国のパソコン通信事情の紹介が多く、 こちらも日本のBBSとはレベルが違い、ソフトウェアや情報の交換の場になっており憧れたものです。
当時は自宅で電話を占有できないという事情のほかに、例えばCompuServeを使おうとすると 日本にはアクセスポイントがないので、KDDのVENUS-Pを経由するなどのハードルもあり、 後年NiftyServe経由で利用できるようになるまで私は使ったことありませんでした。
米国ゲーム事情
Wizardryの作者のRobert Woodheadのインタビュー記事や最新の米国ゲームの紹介にもかなりの紙面が割かれていました。
Robert Woodheadなど当時私たちにとっては、Stephen Wozniak などと並んで憧れたコンピュータの偉人でした。
日本のパソコンでも多くのゲームが発売されていましたが、RPGなどはまだ本格的なものは日本では 作られておらず、Wizardryの日本語版がやっと発売されたくらいでした。
アーケードゲームは別にして、RPGなど新しいジャンルのゲームはまだまだ米国のほうが進んでおり、 使用していたSharpのパソコンでは互換性がなく遊べないのになぜか興味をもって読みあさっていました。
まとめ
大学の授業に興味を失い大阪の電気街である日本橋を彷徨いながら、 そろそろ就職かなという時期に読んでいた雑誌で懐かしく読み直せました。
思い返すと、私のITに対する身の置き方についてのベースを作ってくれた一つだったかもしれません。
またどなたかに読んでいただきたいので、ネットオフにでも持っていこうと思います。