AppleがRCSのサポートを発表

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Googleが推進するメッセージングのプロトコルRCSのサポートを、ついにApple が発表しました。

Google が事あるごとにオープンな規格だとRCSの採用をAppleに迫っていましたが、 これまではAppleは独自のiMessageを維持してきました。

大きな方針転換ですね。

AppleのRCS採用で何が改善されるのか

Appleは長年、SMSと統合されたiMessageを提供してきました。これに対し、Googleは多くのメッセージングアプリを開発し、その多くを廃止してきました。1

  • Google Talk(2013年10月廃止)
  • Google Allo(2019年6月廃止)
  • Google Hangouts(2020年11月廃止)
  • Google Chat(2022年10月よりAndroid、iOS向けにリリース)
  • Android標準メッセージ(Android、iOS向けに標準搭載)

この結果、Androidユーザーにとって「標準」と呼べるメッセージングアプリが存在せず、多くの国ではWhatsAppや日本ではLINEなどのサードパーティアプリが主流となっています。私自身、iPhoneからAndroidに乗り換えた際には、この点で少し戸惑いました。

しかし、2022年10月、GoogleはAndroid標準メッセージアプリでRCSのサポートを開始しました。

RCS(Rich Communication Services)は、SMS/MMSの代替として携帯電話会社が提供するメッセージングサービスの新しい業界標準です。RCSを使用すると、テキストメッセージだけでなく、高解像度の写真やビデオの送信、グループチャット、メッセージの読了確認など、LINEのような機能が利用できます。

Androidのメッセージングアプリが統一されるかと思われましたが、世界的に多くのユーザーを持つiPhoneのiMessageは、これまでRCSをサポートしていませんでした。そのため、RCSを使用してもAndroidユーザーはiPhoneユーザーにメッセージを送ることができませんでした。

しかし、AppleがRCSを採用するという今回の発表により、この障壁が取り除かれ、将来的にはiPhoneとAndroidユーザーがそれぞれの標準アプリを使用して、SMSのように簡単にメッセージを交換できるようになる可能性が開かれました。

私はどうするか?

日本では、このようなニュースに興味を持つ人は少数派かもしれません。大多数の人々 は依然としてLINEユーザーであり、彼らにとっては大きな影響はないでしょう。

私自身これはでLINEのような愚かな選択肢を避けたいと考えており、すでにLINEアカウントを削除し ています。Facebookも「うざっ」とアカウント削除したので、Messengerも使えません。

そのため、国内の知人とはSMSで、海外の知り合いとはWhatsAppで、家族とは Threemaを利用してコミュニケーションを取っています。

今回のRCSの動向を受けて、SMSやWhatsAppを使用している知人に対して、「RCSに対応し たので、メッセージアプリでやり取りしませんか?」と提案しやすくなるかもしれませ ん。

なぜThreemaを使い続けるのか?

家族とのコミュニケーションにはThreemaを使用しています。このアプリは2014年から利用しています。

RCSとThreemaを機能面で比較すると、以下のような違いがあります。

  • Android標準メッセージ (RCS)

    • Pros (利点)
      • 広範な互換性:新しいAndroid機種で多くのユーザーが利用可能
      • キャリア統合:SMS/MMSとシームレスに統合
      • 使いやすさ:プリインストールされているため、セットアップ不要
    • Cons (欠点)
      • プライバシーとセキュリティ:エンドツーエンド暗号化されているが、Forward Secrecy2には対応していない
      • キャリア依存:RCSの利用可否はキャリアの対応に依存する3
      • ハードウェア依存:古いデバイスや異なるOSでは利用できない場合があり、電話番号に依存
  • Threema

    • Pros (利点)
      • 強固なセキュリティ:エンドツーエンド暗号化に加え、Forward Secrecyに対応
      • 匿名性:電話番号やメールアドレス不要
      • ライセンス贈呈可能:Threema Shopから購入すると、他人にライセンスをプレゼントできる
      • マルチプラットフォーム対応:iOS/Android両方で利用可能
      • プライバシー保護:広告やトラッキングなし、ユーザーデータの収集・販売を行わない
    • Cons (欠点)
      • 導入のハードル:有償アプリであり、ID管理に最低限の知識が必要
      • 小さいユーザーベース:日本では利用者が少なく、主に家族間での利用に限られる

Threemaには個人向けと企業向けのエディションがあり、個人向けには以下の3つのエディションが存在します。

  • Google Playで購入可能なエディション
  • F-Droidなどからインストール可能なエディション
  • Threema Shopからダウンロード可能なエディション

後者2つはThreema Shopからライセンスを購入して利用します。これは、利用情報をGoogleに知られたくないユーザー向けの選択肢です。Threema Shop版では、Threema Pushという独自の通知システムを利用でき、これにより通知を介してGoogleに情報が漏れることを防ぎます。

Threemaはスイス発のアプリなので、ここまでプライバシーに対して非常に敏感なのでしょうか。

今回、こうやって記事にしてみて「プライバシーって大事だな」と思いGoogle Play版を購入済みであるにもかかわらず、Threema Shopからさらにライセンスを購入することにしました。

客観的にはThreemaの日本での使用は、やり取りする相手がいないと思いますのでお勧めしません。私ももっぱら家族との会話のみで使用しています。

ちなみに各Messaging アプリの安全性について

そういえば、2021年にニュースサイトのRolling Stoneと 非営利団体のProperty of the Peopleが、iMessage、LINE、Signal、Telegram、Threema、Vibeer、WeChat、Wickrといった9種類のメッセージアプリから合法的に得られる情報をまとめたFBIの内部文書を公開しています。

たとえば、LINEでFBIが合法的に取得できる内容は以下のような感じです。

  • メッセージ内容 : 特定ユーザーのテキストチャットの最大7日分のみ(ただしエンドツーエンドの暗号化が選択されておらず適用されていない場合、かつ有効な令状を受け取った場合のみ。ただし、ビデオ、画像、ファイル、位置情報、電話通話の音声などのデータは開示されません)
  • 容疑者および/または被害者の登録情報(プロフィール画像、表示名、メールアドレス、住所、電話番号、LINE ID、登録日など)
  • 利用情報

iMessageは以下の通りです。

  • 召喚状があれば加入者情報を入手できる。
  • 18 U.S. Code § 2703 4:対象の番号からのiMessageの検索を25日間提供できる
  • 捜査令状があれば、iCloud上のバックアップ、iCloudでのiMessageが有効であればそのメッセージ、その暗号化キーも入手できる。

なんか、ダダ漏れです。怖くなりますね。

Threemaは以下の通り、かなり安心です。

  • メッセージ内容は取得できない。
  • 電話番号、メールアドレスなどのハッシュ値。ただしユーザーがこれらの設定している場合のみ(Threemaでは電話番号やメールアドレスの設定は必須ではない)
  • 使用している場合はPush Token(おそらくThreema Pushのことだと思います)
  • 公開鍵
  • Threema IDの作成日
  • 最後のログオン日

(2023-11-29追記) LINE、また個人情報流出

LINEヤフーでまた個人情報流出があったようです。 LINEアプリの利用者情報44万件が流出の可能性があるとのことです。

「日本企業」と言っていますが、今回も韓国のネイバーとシステムの一部を共有していた ことが原因のようです。アプリとしてので安全性以前に運営している企業に問題があるのでは 話になりませんね。

今回が初めてではないし。

参考情報:

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  1. このあたりの事情は 2018年記事も合わせてお読みください。 

  2. 簡単に言うと、たとえ過去の通信が誰かに盗まれても、その通信内容を読み取ることが非常に難しくする技術。通信するたびに新しい「鍵」が生成され、その鍵で暗号化されるため鍵が盗まれても過去の通信内容を解読することはできません。 

  3. 私が利用しているMINEOは、2022年10月3日よりAndroidスマートフォン向けにRCSの提供を開始しました。 

  4. 18 U.S. Code § 2703は、政府機関が電子通信サービスの提供者に対して、特定の条件下で通信内容や記録の開示を要求することを規定しています。 

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