SUBARU WRX S4のパッケージングについて

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ロードスターRFの時もやったパッケージングについての考察をWRX S4についてもやってみました。

パッケージングの比較

Name Weight Front Axle Weight Rear Axle Weight Wheelbase Tread
WRX STI 1490 900 610 2650 1530
WRX S4 1600 980 620 2675 1570
Roadster RF 1100 560 540 2310 1495

車両の重量とその影響

WRX S4の重量は1600kgです。これはWRX STIの1490kgよりも110kg重く、Roadster RFの1100kgと比較すると、さらに500kgも重たいです。

マニュアルミッションで2Lエンジンを搭載するWRX STI、Roadster RFに対して、 CVTの2.4Lエンジンを搭載するWRX S4としては重量増が致し方ない部分です。

WRX STIと比較すると、S4はエンジン排気量の増加、トランスミッションの変更、シャシーの改革などにも関わらず 110Kg増で収まっているのは見事なのでしょう。

前後の軸重とバランス:

車の前後軸重のバランスはその車のハンドリングや動的特性に大きく影響し、一般的には 次のような傾向が見受けられます。

  • フロントヘビー(前重視)は前輪駆動車や大排気量のエンジンを前に搭載した車に多い。ストレートラインでの安定性は高いが、コーナリング時にアンダーステア(前輪が外側に滑る)の傾向が強まることが多いです。
  • リアヘビー(後重視)は一部のスポーツカーやリアエンジン車がこの特性を持ちます。コーナリングの初期でのアジリティが高まりますが、オーバーステア(後輪が外側に滑る)のリスクが高まります。
  • 均等なバランスはミッドシップ車や一部の高性能車に見られる特性です。コーナリング時のバランスが取りやすく、ハンドリングが中立的です。

Roadster RFは前560kg、後540kgで、比率は1.04で、ほぼ均等なバランスを持ち、アジャイルで中立的なハンドリングを狙っているのがわかります。 WRX STI: 前900kg、後610kgで、比率は1.48です。FFベースの四輪駆動としては、一般的でトランクションをしっかり確保しつつある程度アジリティも確保した比率だと思います。 対して、WRX S4は前980kg、後620kgで、この比率は1.58です。この数値から、STIよりはストレートでの安定性と通常状態でのトラクションの確保に振っており温厚な性格であることがわかります。

ホイールベースとトレッドの影響およびその比率

WRX S4のホイールベースとトレッドは、それぞれ2675mmと1570mmで、この比率は1.70です。一方、WRX STIは2650mmと1530mmで、比率は1.73です。Roadster RFは、2310mmと1495mmで比率は1.54です。

ホイールベースとトレッドの比率は、車のハンドリングや安定性に影響を与えます。比率が高いと、一般的には直進安定性が増す一方で、コーナリング時のアジリティが少し犠牲になることが多いです。WRX S4の1.70は、WRX STIの1.73と比較してやや低めであり、このことからWRX S4は、WRX STIよりも少しアジャイルなハンドリングを持ちつつ、高速走行時の安定性も保っていることが考えられます。また、Roadster RFの1.54は、これらのスポーツセダンよりも低い比率となっており、タイトなコーナリングやワインディングでの運転を重視した設計が考えられます。

総括

WRX S4は、重量、軸重のバランス、そしてホイールベースとトレッドの比率から次のような考察ができます。

  • トランスミッションやエンジン形式などの違いからWRX STIと比較するとフロントヘビーとなり直進安定性やトラクションが増している。
  • フロントヘビーでスポイルされたアジリティを確保するために、ホイールベースとトレッドの比率をアジリティ確保に振っている。

実際乘っている印象もこのようなデータから類推できる内容に近い感触です。

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