思い起こせば、38年前の1984年1月19日に初めてパソコンを手にしたのでした。購入したのは SHARP X1C でした。
SHARP X1Cとは
X1Cは前年の10月に本体とキーボードを一体化した省コストモデルとして発売されたモデルで、当時なんとか手が届く価格だったので購入しました。
当時はまだ8ビットの時代です。人気があったのは、NECのPC-8001/8801、富士通のFM-7、SHARP(情報システム事業部)のMZ-80B、SHARP(テレビ事業部)のX1あたりでしょうか。
X1を選んだのは、以下のような理由です。
アセンブラを勉強していたので、Z80のマシンがよかった
NECのマシンはバンク切り替えなどハードウェア構成がよくないが、シャープのマシンは当時8ビットのアドレシングの製薬でVRAMの置き場所が問題になったがZ80の隠し機能を使ってI/O空間に配置することでプレーンなメモリ空間が使えた。
まだディスクがない頃で、カセットテープが使えるインテリジェントな高速データレコーダーが魅力的だった。
高精細度のディスプレイがラインナップされ、テレビとしても使えた。
Programable Character Generatorというフルカラーで文字フォントを自在に変更できる機能があり、ゲームなどで高速な表示が可能だった。
SHARP製BASICより強力なハドソンのHu-BASICが搭載されていた
5年間基本設計を変えない宣言がされており安心できた
一体化された本体には高速データレコーダーが組み込まれていましたが、私はその横にオプションで3色のプロッターを追加していました。当時プリンターは高価で手が出ず、このプロッターはプリンターと比較すると安価だったと思います。プログラムリストを印刷するのに大変時間がかかりましたが。
SHARP X1turboの登場
その後、解像度を640x200から640x400に上げ、日本語の漢字フォントを搭載したX1turboが1984年10月に登場します。
あまりの衝撃にまだ1年も使っていないX1Cを下取りに、ローンでX1turboをすぐに購入しました。
5インチのフロッピーディスクがついたモデルで、外付けのインテリジェント高速データレコーダーを買い足しました。
本体だけで17万円程度はしたと思うので、ディスプレイなど含めると軽自動車が買えるくらいの支払いだったと思います。
非常に高価でしたが、FM音源ボードやカラーイメージボード(TV動画が取り込めた)など純正オプションも継続して発売されたので、8ビット機としては何年もトップレベルの機能を維持できました。
また、CP/Mやソフトバンクから出版されていた「Oh!MZ」誌上で連載されていた SHARPマシン用の独自OSであるS-OS上で
いろんな言語でプログラミングを楽しめたので、メイン機をDOS/Vマシンに変えてからも1995年あたりまで使っていました。
特にS-OSは誌上でアセンプラからデバッガ、エディタ、オリジナルの高級言語っぽいコンパイラまで読者が公開するような
盛り上がりで楽しかったなぁ。
最高のおもちゃ
当時のパソコンといえば、ディスクすら贅沢でデータ保管はカセットテープで、日本語は半角カナがせいぜいで
ワープロという物すらなく、今から思うと実用性という観点では全く使い物にならない物でした。
それでも他機種を持っている友人と機能を競い、誌面のマシン語ダンプを打ち込み、プログラミングに興じることができた
あのパソコンは最高のおもちゃでした。
そんな8ビット機の制約の中でなんとかしてプログラミングをやっていたのは楽しい経験でした。
文系なのにエンジニアに進んだモチベーションにもなったので、そのきっかけとなったX1シリーズには感謝です。
つい懐かしくなって、当時のパソコンの興亡をまとめた本を買ってしまいました。