映画「ラストコンサート」
中学時代に見た映画「ラストコンサート」をDVDで数十年ぶりに見ました。
初めて映画館で見た洋画
この映画を見たのは、中学生になって初めて友達と洋画を見に行った時でした。 それまでは怪獣ものやアニメしか映画館で見に行ったことがなかったので、何か大人になってような気になったものです。
本当は当時リメイクされた「キングコング」を見に行ったのですが、 行き当たりばったりに映画館に行ったので「キングコング」の上映時間が合わず諦めました。 その時代わりに選んだのが「カサンドラクロス」という鉄道がハイジャックされるという映画で、 「ラストコンサート」と何故か2本立てでした。
意図せずに見ることになった「ラストコンサート」ですが、中盤から涙が止まらず友達の前で オロオロとしたものです。
そんな思い出と音楽が印象的だったなと思い今回DVDを入手しました。
「ラストコンサート」とは
この映画は当時日本ヘラルド映画とイタリアの合作で、主演女優の Pamela Villoresiはイタリア人、主演男優のRechard Johnsonはイギリス人、撮影舞台はフランスととなんだか妙な組み合わせです。 原題はイタリア語で「Dedicato a una stella(ステラに捧ぐ)」となっているようです(「ステラ」とはヒロインの名前)。
白血病で余命幾ばくもない少女と、人生に敗れた50歳近いピアニストの恋を描いたものですが、 ベタベタなストーリーはかなり日本側が口を挟んだんでしょう。
印象な音楽はStelvio Ciprianiの作曲です。 この方、ヨーロッパの映画音楽では活躍された方で甘く美しいメロディが得意です。代表作は、 映画「ベニスの愛」の音楽ですが、映画「ある愛の詩」のフランシス・レイの音楽と酷似しており、どうやらフランシス・レイの方がパクったようです。日本では「ある愛の詩」の音楽の方が有名でしょうが。
そう言えば、「ベニスの愛」も夫が白血病で亡くなる夫婦の愛を描いたものだし、 「ある愛の詩」、この「ラストコンサート」も白血病ものですね。
「ラストコンサート」を改めて見た感想
45年ぶりくらいに見てみました。
現代の映画に慣れていると、編集がかなり稚拙でまったりした感じです。 ピアノ演奏シーンが画角の問題か編集の問題か、ピアノを弾いているように見えず、 「これは何やってるシーン?」ってのもあります。
あとは全編に渡りモンサンミッシェルやパリの情景が差し込まれているのですが、 まるで観光局が作ったような・・・ また妙にソフトフォーカスが多用されており、 カラオケのイメージビデオのようでもあります。当時の流行りだったのか、日本の 女性向けに仕組まれたのかわかりませんが、今見ると少し違和感があります。
ストーリーは、白血病の少女と出会ったうらぶれたピアニストのおっさんが 少女と愛を育みつつピアニストとして再起していく。再起を果たしたコンサートで、 演奏を見ながら少女が亡くなっていくというストーリーです。
ティーンの少女ステラが病院でたまたま出会った50歳近いおっさんリチャードに 冒頭から盛んにアプローチする冒頭の様は、今改めて見るとかなり唐突で不自然です。 実際にそんな少女がいたら、狂ってるとしか思えません。未成年に対して色々デリケートな現代では、なかなか危ない感じもします。
現代の感覚からすると衝撃的なのは、旅の途中でリチャードが唐突に「いつまで生きられると思っている? 君は春まで持たない」と自分の病気を知らないステラに告げるシーンです。なんでそんなことをするのかも意味不明ですが、それに対して戯けて見せるステラをリチャードがぶん殴るに至っては理解不能です。こんなシーンは全く印象に残っていません。
45年ぶりに見直してみると、「あれ? これで泣けたっけ」という感じはありますが、 主演のPamela Villroesiのはつらつした若さと明るさが悲劇の中で引き立って魅力的であることと、Stelvio Ciprianiの甘い音楽がこの映画を印象的なものにしているのでしょう。
実際、途中気がつけば涙が出ていました。