pCloud ライフタイムを購入しました

カテゴリー:  Tech タグ:  cloud pcloud storage
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Google フォトの容量無制限が2021年5月末で終了します。 Google フォトを積極的に使用していたわけではありませんが、 Androidの写真のバックアップとしては使っていたのでなくなると やはり困ります。

代替としてスイス発の pCloud というクラウド・ストレージサービスを購入しました。

私が pCloud を購入した理由は以下の3つの点を評価したからです。

  • サブスクリプションでなく一生買い切りのプランがある。

  • 柔軟な利用形態に対応している。

  • 強力なセキュリティ機能が提供されている。

pCloud の一生売り切りプラン

pCloud には一度支払えば、それ以降は一生支払いなし利用できる ライフタイムの プランがあります。現在は $350、約4万円で 2TB のストレージが一生使えます。

外付けの2TB HDDが8千円で購入できる時代ですから、一括払いで4万円というと高い気がしますか?

しかし、 pCloud は外付けHDDと違って、サービスが続く限り「壊れる」ことはありません。一生使い続けることが可能です。 また、他のサービスでは、2TB/年間 で1万〜1万5千円前後のサービスが多いと思います。 こういったサービスを3年以上使用するのであれば、pCloudのライフタイムの購入をしたほうが断然経済的です。

私はクラウドストレージに残したデータで何度も救われているので無料枠で利用してきましたが、 利用する限り費用が多少でも発生するとなると躊躇してきました。

今回、売り切りのプランがあることが pCloud を選定した一番の理由です。

pCloudの柔軟な利用形態

クラウド・ストレージは、Dropboxや Syncなど PCなどのローカルディスクに 専用の領域を作ってクラウドとファイルを同期するタイプのサービスがほとんどです。 この同期型のメリットは、一時的にオフラインでもローカルにはクラウド・ストレージ のレプリカがあるのでユーザーは意識せずにファイルを閲覧・参照できます。 一方でデメリットとして、同期する領域が特定されてファイル配置が制限される点と、クラウド・ストレージに格納したデータが 増えるほど同期領域も増えていくのでローカルディスクも圧迫されます。 [1]

pCloud は同期型でなく、仮想ドライブ方式を取っています。

仮想ドライブ方式は、一見ローカルディスクにファイルがあるように見えていますが、 実体はローカルには一切配置されておらず、ファイルにアクセスした時にダウンロードして あたかもローカルにファイルがあったようにユーザーに見せています。

メリットとしては、ローカルディスクを圧迫せずに大量のファイルをクラウド上で管理することが 可能です。デメリットとして、アクセスの都度ダウンロードが発生するため多少アクセス時間が 掛かってしまいます。

pCloud は基本的には仮想ドライブ型なので、2TBのプランを利用してもローカルディスクには それほどスペースは必要ありません。アクセスした際も、5MB程度の画像ファイルだと 一呼吸待つ印象で、5GBの動画だと直ぐに開きますがバックグランドでダウンロードしているのか 動画再生がギクシャクします。テキストファイルなどはローカルファイルと ほぼ違いがわからないレベルです。

その上、 pCloud はフォルダを指定しての「同期」もサポートしているので、 一部のフォルダだけ同期することが可能です。 同期対象のフォルダはローカルディスクのどこにあってもよく、クラウド上での同期先も pCloud上の任意のフォルダを自由に指定する事が可能です。

また、 pCloud では最近 「Backup」という機能が追加されたようです。この機能は 「同期」と 似ていますが、以下の点が異なります。

  • 同期はローカルからクラウドへの一方向で、クラウド上の変更はローカルに波及しない

  • 変更の履歴を保持しており、変更履歴をたどって過去の状態に戻す事ができる。

pCloud ではこれら3つの方式を任意のフォルダに指定して組み合わせる事が可能です。同期するフォルダの位置に制約がある他のサービスと比較すると、圧倒的に柔軟です。

pCloudの強力なセキュリティ

pCloud はEU圏、特にスイス発のサービスということで、プライバシーやセキュリティには非常に 注力されているようです。

pCloud でも他のストレージサービス同様、pCloud を利用していない他人に ファイルを共有することが可能です。以下がその設定画面です。

ファイル共有設定

ファイル共有設定

以下のよう参照ユーザーの権限制限をかなり細かい設定を行うことができます。 他のストレージサービスも同様の事は可能ですが、ここまで柔軟な設定を簡単に行えるという 点で pCloud はかなり優れています。

  • ダウンロードの可/不可

  • パスワードの設定

  • 参照期限の設定

セキュリティとは直接関係ありませんが、ダウンロードページのヘッダ画像やタイトルなどを 設定できる「ブランディング」機能はユニークですね。

また pCloud では pCloud Crypto と呼ばれる暗号化オプションが用意されています。

この pCloud Crypto を利用すると、"Crypto Folder"というフォルダが現れます。 ファイルはこのフォルダに入れようとすると、アップロード前にクライント内で暗号化され pCloud の"Crypto Folder"にアップロードされます。アップロードされたファイルは、 パスフレーズを入力してこのフォルダをアンロックしたときにも閲覧可能です。

このような方式でサーバー側には平文が一切保持されないため、pCloud自身もユーザーの 暗号化されたファイルを一切開く事ができない仕組みになっています。

同様の暗号化サービスを提供しているストレージサービスはありますが、 pCloud がユニークなのはこの暗号化されたフォルダと平文の普通のフォルダを 同じように混在させて扱えることです。

残念なのは、この暗号化サービスが有料のオプションであることです。生涯売り切りの場合 $125 を追加で支払わなければなりません。私は同時に購入しました。

pCloudをGoogle フォトの代替とする

元々Google フォトの代替として検討を始めた pCloud ですが、現在は以下のような 使い方をしています。

  1. Android の pCloud Driveで Automatic Uploadの設定をオンにしておく。 これで撮った写真は自動で "Automatic Upload"フォルダにアップロードされます。

  2. 時々 Mac上で上記フォルダにアップロードされている写真をまとめてダウンロードして Mac上の"My Picture"フォルダに放り込む。

  3. noodlesoft の Hazel を使用して、 自動振り分けを行う。

  4. Lyn で管理しているフォルダを MacのpCloud Drive でBackup対象として pCloud上にバックアップを取得する。

ただ、このAndroid版 pCloud DriveのAutomatic Uploadを使うと、写真のGPS情報など いくつかのメタデータが除去されてしまいます。これは pCloudの問題でなく、 Androidプラットフォームの仕様でpCloud側では改善できないようです。 [3] 個別にマニュアルで写真をアップロードする分には、こういったことは起こらないので 現在ちょっと悩み中です。

まとめ

Dropbox, Sync, Box, Bitcasa など多くのクラウド・ストレージを使用してきましたが、 pCloud はコストパフォーマンス、柔軟な利用形態のサポート、セキュリティなど多くの面で ベストだと思います。

pCloud のアカウントを作成する際に、欧州と米国のどちらのサーバーを利用するか 設定する必要があります。設定後に変更する事はできますが、移転は有償のオプションのようです。

私は以下の理由から欧州のサーバーを選択しました。

  • 米国より GDPR [2] など個人情報を保護する施策を明確に打ち出しているので安心

  • 測定したところ、ダウンロードは圧倒的にに欧州のサーバーが速かった。 (欧州:ダウンロード 23Mbps, アップロード 2Mbps、 米国:ダウンロード 6Mbps, アップロード 6Mbps )

pCloud は無料枠で10GBを利用できますから、是非試してみてください。

脚注

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