EV車に買わない訳
昨年発売されたばかりのマツダの戦略車 MX-30のEVモデルが遂に発売になりました。 昨年ロードスター購入時にマツダで商談しているとき、 発売されたばかりの MX-30のマイルド・ハイブリッドが常に展示されていて、 「MX-30はEVが本命なんだろうな」と思っていたので感慨深いものです。
EV車と言えば、今回ハイブリッドですらないゴリゴリのレシプロ車を購入してしまったので、 割と非難のニュアンスで「これからはEVじゃないの?」とよく聞かれます。
鬱陶しく悔しいので、対抗するためのへ理屈を考えてみました。
「これからはEVだ!」という人の論理
レシプロ車を非難しEVやハイブリッドを推してくる人のロジックは、少し前までは 「化石燃料は数十年で枯渇するから」というものでした。最近これを言う人は少なくなってきました。現状でもそんなことは起こらず、採掘技術の向上や新しい油田の発見でどうやら そんなに早く枯渇する気配がないからです。
最近は「CO2排出による地球温暖化防止のためには脱レシプロ車」という論理です。
実際菅内閣になって「 2050年にカーボンニュートラル を実現」という目標が掲げられました。 なんとも曖昧な話ですが、植物などが吸収してくれるCO2と人間が排出するCO2をバランスさせる ということです。
この方針に基づいて「 2030年度燃費基準 」経済産業省により策定されました。 これにより企業別平均燃費基準方式(CAFE方式)で25.4km/Lが目標値とされました。これを実現するためには、ストロング・ハイブリッドでも厳しく、今後更にEV車へのシフトは加速すると言われています。
「こんな状況でレシプロ車を買うなんて!」という訳です。
こういった動きは世界的なものなので、日本に限らず世界中の自動車メーカーのEV車へのシフトは 実際起こっていますし、今後10年で更に加速するのも確かだと思います。
ただ、私からすると「こんな状況だから、レシプロ車を買う」なのですが。。。
EVを購入しない理由
ここからは「EV車を買わない」言い訳(へ理屈)です。
EV車は進化していない
近年になって割と実用的なEV車が日本で発売されたのはいつかと思い起こせば、 三菱 i-MIEVや日産のリーフなどが最初かなと思います。大体10年ほど前でしょうか。
これらの車と現在のEV車を比較すると、バッテリーの大容量化やモーターの高効率化 などにより航続距離が伸びたり、パワーが上がったりはしていると思います。 しかし、新しい動力方式にも関わらず基本的なところではほぼ進化していません。
雑な言い方をすると、これまでのEV車はモーターでホイールをブン回すという構造なので モーターかバッテリーの効率化しかない余地がないのも一因です。
EV車はこういったシンプルな部品から生産できるので参入障壁が低いと言われていますが、 裏を返せばモーターやバッテリーなどほとんどのメーカーは外部から調達して組み立てることを 意味しています。そしてモーターやバッテリーは電機メーカーが主導権を持っています。 こういった産業構造から、まだまだ新しい動力方式にも関わらずドラスティックな進化がなかなか 起こらない状況にあるのではないかと思います。
それらと比較すると、内燃機関のエンジンは「枯れた技術」であるはずなのに この10年だけ見てもものすごい勢いで進化しています。 なんと各社の新しいエンジンは熱効率40%を超えてきています。
EV車は本当に環境に優しいのか?
2030年度燃費基準では「Well to Wheel(油田から車輪まで)」という考え方が取り入れられます。
内燃機関の熱効率の向上の話を続けると、各メーカーは50%を目標にしてレシプロエンジンの改良を継続して取り組んでいるようです。最新のマツダのエンジンである SKYACTIV X は熱効率43%と言われています。 発電用の高効率タービンの熱効率が50〜60%だそうですから、常に回転数の変動が起こる 自動車用のエンジンでは熱効率40%以上というのはかなり限界に近い効率化がされていると思います。
これに多段化したトランスミッションやマイルド・ハイブリッドなどで更に効率化 しているので、環境負荷の面からみても最適化されてきているのではないでしょうか。
一方でEV車の場合、高効率のタービンで発電された電気が送電線で5%程度ロスしながら EV車まで届けられます。そしてインバーターやコンバーターで降圧と増圧を繰り返して ロスしながらモーターを回すことになります。最近のEV車は高性能モーターやインバーター を積むようになったので放熱が大きくなりラジエーターも大きなものが積まれるようになりました。 つまり、モーターを高性能化すると益々熱効率は下がっていきます。
結果、「EV車とレシプロ車の熱効率の比較って、 WtWで考えると算出前提やどこから算出するかの見方によるよね」って レベルって比較になります。
そもそも発電の問題
更に考えると、タンクで備蓄できる燃料と違って、電気は発電したら蓄電が難しいものです。 そのため発電量と消費量をバランスさせなければならず、消費されなかった発電は無駄になります。
加えて、日本の場合、発電の75%が火力発電です。 これらの発電所のタービンはエンジンのように使わないからと簡単に止める事は出来ません。 火力発電の火入れは非常に手間がかかるためです。
つまり稼働時はエンジンより熱効率がよい発電所ですが、上記のような理由で活用されない 発電を無駄に行ってる部分があるはずです。
WtWで考えるとEV車の効率は下がる要素があるということです。 これは高い比率で火力発電に頼っている日本の発電の問題で、これを解決しない限り 本当の意味でのカーボンニュートラルは達成できません。
ところが、現在の環境大臣は国連サミットの記者会見で 日本の環境問題の一番の課題である「火力発電はどう削減していくんだ?」という 質問に無言になってしまうという無能ぶりですからね。
大体、日本のCO2総排出量の10%にも満たない自動車のCO2排出をああだこうだいってもねぇ。
まとめ
自分の購買行動の正当化のために国の発電問題まで語ってしまい、 EV擁護者に唖然とされてしまいました。
最終的には「以前乗ってたWRXから燃費が倍以上向上して17Km近いんです」 という話で逃げることにしています。