CO2排出量からみたスバル

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CO2排出量規制

 先日スバルの営業が「もうスバルではハイパフォーマンスカーはでない」と言っていたので、真面目に検討してみました。

 CO2(CO2)排出量規制は、欧州が先行しておりCAFE規制を導入しています。 この規制では、メーカー単位で販売車両のCO2の排出量平均値を算出され、 基準を達成できなければメーカーはペナルティとして「クレジット」を買わなければなりません。

 これらペナルティを科された場合、メーカーは車両価格に上乗せするしかありません。

 CAFE規制は、2019年から 1Km当たりのCO2排出量を 130gと規定します。2021年からは 95g/Km となり、2030年には 60g/Kmとなります。

スバル車の現状

 スバルは販売している各車種のCO2排出量を掲載しているので、各モデルで一番CO2排出量が少ない 車種をピックアップして下表にまとめました。排出量は燃費を元に算出されているはずです。 欧州の燃費算出の基準が日本のものより2割ほど甘いので、排出量も2割ほど甘めに補正した数値を 参考に掲載します。

現行スバル車 CO2排出量

車種

排出量(g/Km)

補正後排出量(g/Km)

インプレッサスポーツ

135

112

インプレッサ G4

135

112

XV

121

100

フォレスター

125

103

アウトバック

157

130

レガシィ B4

157

130

レヴォーグ

145

120

WRX S4

176

145

BRZ

181

150

 こう見ると、2019年に規制は何とか達成しているようですが、2021年の 95g/Kmの規制がかなり 厳しいのがわかります。この状況はスバルだけでなく、同じようなラインナップを持つマツダも 同様です。恐らく2021年の規制が余裕でクリアできる国産メーカーは、トヨタくらいでしょう。

 WRX STIのCO2排出量は 247g/Km ですから、販売終了となるのは当然ですね。ハイパフォーマンスカー が発売されないという営業の言葉も肯けます。

スバルの今後

 さて、2021年の規制をクリアできない場合に何が起こるかというと、 メーカーに「クレジット」が科され、それが販売価格に転嫁されます。現在の2019年の 規制のレベルで2021年の基準に照らすと、およそ一台当たり 13万円程度の負担になるのではないか と言われているようです。

 これに対抗するには、以下の2つの方法しかありません。

  • ハイブリッドやEVの比率を高めて、何とか95g/Kmをクリアする

  • 負担金を問題としない価格帯の車両で勝負する。

 後者は、例えばフェラーリなどのハイパフォーマンスカーは車両価格が数千万円なので負担金が 100万円でも購入者はさして気にしないだろうということです。

 マツダは、それなりに対処できているように思えます。

  • 現状は内燃機関の効率化だけで2019年規制を達成できており、ハイブリッドを組み合わせると達成できる可能性が高い。

  • 6気筒モデルをはじめとしてプレミアムブランドを目指すという方針を出しており、相対的に負担金の問題を小さくできる価格帯の車を目指している。

 これらの取り組みが成功するかどうかわかりませんが、少なくとも「取り組みが見える」ところは大きいです。

 また、現在は "Tank to Wheel"(給油から走行までの燃費)で上記のような規制がなされていますが、 "Well to Wheel"(油田から走行までの燃費)という考え方もあります。この考え方では EV車でも 50g/Km 程度のCO2排出量があると算出されるため、さらに厳しい規制となります。

 安易なハイブリッド化だけでなく、内燃機関の可能性を突き詰めているマツダの取り組みはこう言った 面からも評価できます。

 これに対して、スバルの見通しはかなり暗い印象です。上表の数値もすでにマイルドハイブリッド 化したモデルがほとんどでこれ以上燃費の改善が見込めるか疑問です。またハイパフォーマンスカーが 発売されないとすると、スバルというブランドに対してどのようなクルマを目指していくのか全く見えません。

 さて、次の車はどうしましょうか。

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