読了『サーキットの狼』

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『サーキットの狼』の電子版がKindleで無料で購入(Unlimitedでなくゼロ円)できたので 10巻くらいまでまとめて買って読んでみました。

写真は、2004年に名阪道路で見かけたロータス・ヨーロッパです。まだ走ってるかなぁ。

サーキットの狼(1)

by 池沢さとし

ASIN: B019GW44PO

スーパーカーブームの火付け役となった、名作レーシング漫画が待望の電子化!

『サーキットの狼』熱狂の理由: ロータス・ヨーロッパ買えるかな

ロータス・ヨーロッパを操る街道レーサーである主人公が、街道レーサーとして切磋琢磨し 成長していく物語です。スーパーカーブームを起こした漫画です。

連載当初から私は衝撃を受けて熱狂しました。

当時大して車には興味のない子供でした。車好きな友達が当時話題にしていたのも、スカイラインや コスモAP、117クーペ、フェアレディZあたりでした。当時の私のスポーツカーのイメージは、オープン カーでスピードが出てチャラチャラした若者が乗ってるイメージでした。

ところが、『サーキットの狼』に登場する車は全然違っていました。

例えば、主人公が乗るロータス・ヨーロッパは、FRPのクローズドボディでミッドシップで、 こんな形状の車なんてみたことがありませんでした。スポーツカー=オープンカーで直線番長的な イメージしかなかったので、「ハンドリングやコーナリングに優れる」というのが何かとても 新鮮なイメージでした。

一番重要なのは、子供ながらに「手が届きそう」な車だったことです。主人公がフェラーリや ランボルギーニに乗っていたなら違っていたと思いますが、子供ながらに自動車関係の雑誌を見て 「ロータス・ヨーロッパの中古なら、大人になったら買えるかも」とか考えていました。 実際、ロータス・ヨーロッパの開発目的の一つは「庶民にも手が届くスポーツカー」だったそうです。

『サーキットの狼』熱狂の理由: ランチェスター第一法則

今読み返しても、並居る大パワーのスーパーカーをパワーで圧倒的にパワーで劣るロータスがコーナリングで抜いていくシーンは痛快です。

念のためロータス・ヨーロッパの動力性能がどれくらいのものであったか、当時現役であったとおもわれる1974年式のカローラと比べてみました。車重が違うので機敏さは違ったと思いますが、 最高出力は自体は一般の車とそれほど違いなかったのがわかります。

ロータス・ヨーロッパの性能比較

仕様

ロータス・ヨーロッパ

カローラ 1600ハイデラックス

WRX STI (今の愛車)

重量

711Kg

880Kg

1490Kg

排気量

1558cc

1588cc

1994cc

最高出力

126PS

100PS

308PS

パワーウェイトレシオ

5.6Kg/PS

8.8Kg/PS

4.8Kg/PS

そんなある意味弱者であった主人公のロータス・ヨーロッパが、 コーナリング性能やハンドリング性能など一点突破の性能を「コーナリングの魔術師」 と呼ばれる主人公が駆使する技術と相まって、強者であるスーパーカーを抜いていく姿に興奮したものです。

この「弱者が強者に一点突破で勝つ」というのがこの漫画の初期の醍醐味ですね。

これはランチェスター理論にも通じます。

ライバルたちは 圧倒的な馬力(量)で戦いを挑んできますが、コーナーという局地戦に追い込みコーナリング性能(質) で凌駕して勝つというのは正に第一法則です。

読まなくなった訳

当時公道グランプリ優勝あたりで読むのをやめてしまったのですが、改めて読み返して読まなくなった 理由がわかりました。

公道グランプリ以降、主人公はロータス・ヨーロッパをターボで強化したり、ディノをカスタムした スペシャルな改造車で公道でなくサーキットに舞台を移していきます。

  • こういった特別な車や舞台がサーキットに移ったことで、「自分も将来こんな車に乗る」という現実味がなくなってしまったこと

  • 強化された車を主人公が手に入れたことで、弱者が強者に勝つという醍醐味がなくなったこと

今回もサーキットに舞台を移した途端、面白くなくなって読む気が失せました。

しかし、作品初期は今読んでも大変面白いです。

現代の車と比較すると当時のスーパーカーでさえ色あせるほど車の性能は向上しましたが、 当時のスポーツカーはそれぞれ大変個性もあり、当時でさえ速さだけでない魅力があったように思います。

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