Appleが全社員に 1Passwordの導入を計画だと?

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1Password

1Password

1Passwordとは

もしかするとご存知ない方も多いかもしれないので、紹介しておきます。

1Passwordとは、パスワードを一括管理してくれるアプリケーションです。いわゆる、 パスワード・マネージャーと呼ばれる種類のソフトウェアです。

最初のリリースは2006年頃でmacOS上で動くソフトウェアだったと思います。 パスワードと登録すると暗号化して記憶してくれます。ブラウザのプラグイン が提供されていて、Webでパスワードが必要になるとボタン一つでユーザー とパスワードを自動入力してくれたり、パスワードを更新すると関知して 1Password上も更新してくれたりします。

また、Dropboxと同期して複数マシンでもパスワードを管理できるように なっていました。

その後、Macだけでなく、iOS、Android、Windowsもサポートしておりほとんどの 環境で利用できるようになっています。

以前は売り切りのソフトウェアでしたが、近年はサブスクリプション・タイプの サービスに移行していています。1Passwordのクラウド上でパスワードは管理され UIとしてのソフトウェアとなっています。利用を始めると、1Password自体をインストール しなくても、ブラウザで1Password.comにログインすると全く同様のインターフェイス でパスワードを管理することも可能になっています。

私も当初からMacで利用しており、今ではその便利さからファミリー・アカウントを 取って家族で利用しています。

Appleが1Passwordを社内導入

7月10日に、Appleが1Passwordを導入したと報道されました。

Apple is reportedly planning to deploy AgileBits' 1Password software across its entire workforce, claimed a report on Tuesday, but the same report alleging that the developer was going to be acquired by Apple was outright refuted.

apple insider

報道では、とりあえず現在は100人の導入ですが全社で導入が検討されており、 Appleは1Passwordを提供するAgileBitsにサポートページを主要な言語に翻訳する ことを要求したと書かれています。

本当だとすると、全世界で123,000人規模になるそうです。

また、1Passwordは独自のクラウド、iCloud(macOS, iOS版のみ)、Dropboxで同期が できますが、今回はiCloud経由でのみ同期できるバージョンを展開しているようです。

Appleの1Password導入が大きくニュースになるのはなぜか?

なぜ、Appleによる1Passwordが大きく取り上げられるかといえば、Appleが開発・ 提供している macOS / iOSにはすでに「キーチェーン(Keychain)」と呼ばれるパスワード 管理ツールが存在するからです。

「キーチェーン」は認証情報、証明書、暗号鍵、クレジットカードなどを暗号化して 保持してくれます。アプリケーションやブラウザから要求があると、マスターパスワード で自動入力させることもできます。まさに1Passwordと機能的にはほぼ同じです。

macOSでは「キーチェーン・アクセス」というアプリでキーチェーンの登録内容を確認できます し、iOSでは「設定」- 「Safari」 - 「パスワードと自動入力」で一部を確認できます。

キーチェーンの歴史は古く、1994年の System 7.5(いわゆるClassisc Mac)のころから 一部で導入されていたようです。macOSの機能としての歴史も長く、機能的にも深く OSと結びついており、APIを通じてアプリケーションでもパスワードの保存や取出 ができようになっていました。当然iCloud対応しており、iCloudを通じてこれらの 機密情報を複数マシンに同期させることもできます。

そんな自社開発した機能があるのに、サードベンダーのパスワード・マネージャー を導入するのですから、早速「AppleはAgileBitsを買収して、次期キーチェーンとして 1Passwordにすげ替えるでは?」という憶測が飛び交いました。

しかし、即座に AgileBitsはTwitterでその噂を否定するコメントを出しました。

個人的な感想を言えば、Appleではキーチェーンの代替を検討しているのでなく、 本当にパスワード・マネージャーが必要だったのだと思います。

キーチェーンはその成り立ちからソフトウェアが機密情報を保存する機能として設計され 発展してきました。キーチェーン・アクセスなどのUIツールも存在するにはしますが、 そもそも「ソフトウェアが」利用する保管庫であって、「人が」利用することを あまり想定していないのです。

キーチェーンを開くとわかりますが、まるでWindowsのRegistory Editorを開いたような 感じです。「名前」を見てもなんの情報がわからないものもあります。これでは エンジニア以外の普通の方が使おうと思うと、なかなかにハードルが高いと思います。

1Passwordはパスワードの種別によりログイン、クレジットカード、ライセンスなど と別れていますし、パスワードの履歴や付加情報も管理できます。パスワード を更新したい場合はパスワード発生器も提供されています。

つまり、同じパスワード・マネージャーというジャンルの機能ですが、想定している 使い方が違うものなのです。

1PasswordがMacに標準で搭載されるとうれしいなとは思いますが、キーチェーンが そう簡単になくなることはないでしょうし、まして1Passwordがその代替となること もなさそうに思います。

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