千葉市の自転車シェアリングの実証実験

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千葉市の自転車シェアリングの概要

千葉市のホームページ [CITE01] によると昨年2017年7月に施行した 「千葉市自転車を活用したまちづくり条例 [CITE02] 」に基づき 以下のようなシェアサイクル、つまり自転車のシェアリングについて 実証実験を始めるようです。

シェアサイクルの導入効果や課題を明らかにするため、平成30年3月26日より、 OpenStreet株式会社と共同で「千葉都心」及び「幕張新都心」の2つのエリアで 実証実験を開始しました。

実証実験のエリアは「千葉都心」と「幕張新都心」です。

実施規模は以下の通りです。

実施規模

エリア

ステーション数

設置ラック数

自転車台数

千葉都心

7

97

60

海浜幕張

6

148

50

現時点では非常に小規模ですが、実証実験は2019年9月まで続き、開始から 1年以内に500台 (それぞれなのか、延べ数なのか不明) を投入するとのことです。

千葉市のシェアサイクルを早速使ってみた

自宅が近いので今日の出勤時に早速使ってみました。

登録は千葉市ホームページ [CITE01] 掲載のリンクから簡単に行うことができます。

私は東京都いくつかの区がやっている同様の自転車シェアリングも利用しています。 あちらはドコモと組んでやっており、登録時の利便性を上げるためDocomo IDとの 連携を行うため、Docomoユーザー以外には非常にわかりづらいシステムになっていました。

こちらは非常にシンプルに登録して、メールが送られてくるのでリンクをクリックして 支払方法などを登録すればすぐに使えるようになります。

OpenStreet株式会社が提供している Hello Cycling というサービスに乗っているようです。この会社ソフトバンクの社内ベンチャーですね。

iOS用のアプリも提供されているので、早速ダウンロードしてログインすればすぐに 使えるようになっています。アプリには地図上で自転車ポートの位置が表示されて おり、クリックすると予約可能台数とラックの空き状況を確認できます。そのまま 予約をすることも可能です。

予約は30分間有効です。つまり、予約したら30分以内に利用しないといけません。

自転車は、いわゆるママチャリですが、26インチか27インチの割と大きな タイヤを履いています。東京都の場合はミニサイクルでしたが、 こちらの方がスピードが出るので長距離には良いと思います。

千葉市シェアサイクルの自転車

千葉市シェアサイクルの自転車

千葉都心から幕張まで利用してみました。距離にして約8Km、 時間して30分程度です。 利用料金は60円 / 15分 ですが、わずかに30分を超えたので 180円でした。

千葉市サイクルシェアの問題点

実際に利用してみて、東京都の自転車シェアリングと比較しながら考えると いくつか問題点が出てきそうです。

実証実験エリアの問題

まず、実証実験エリアの問題です。

東京都の場合、自転車が公共の交通機関を補完する交通手段として 利便性を改めて感じさせてくれる運用がなされており、そこに新たな可能性を 感じました。

それは以下のような要因からきていると思います。

  1. 東京では複数の区が参加しており、多くのエリアが対象となった

  2. 東京の町自体が放射状に形成されており、交通機関もメッシュになっている

このことから、距離的には近いのだけれど地下鉄やバスなど公共の 交通機関がないルートをつなぐ交通手段として自転車を利用している ケースが多いと思います。東京で自転車を利用して最初に思うのは、 「東京って小さいんだ」という「発見」です。実際、今回私が利用した 千葉都心から幕張新都心までの8Kmという距離は、東京駅から新宿まで 東京の中心を横断できる距離です。

一方で、千葉市の場合、実証実験は千葉駅と海浜幕張駅をそれぞれを中心とした 半径2.0Km です。

一体どんな利用のユースケースを想定しているのでしょう?

重たいママチャリならチョイ乗りで2Km程度の行動範囲でよいのでしょうが、 実験で使うのは電動サイクルです。今回の30分で8Km移動できたように ちゃんとした自転車の行動範囲はもっと広いんです。

例えば、千葉ならば総武線と京葉線が並行して走っており、東西の移動は 割と便利なのです。が、この両線の間は電車があまりなく、移動する場合は 千葉駅まで戻るかバスを使うかしかありません。この間を自転車で移動できれば、 大きく利便性は上がります。例えば、京葉線の稲毛海岸や検見川浜と、総武線の 稲毛や西千葉に自転車ポートがあれば、この間を移動したい人にとっては 非常に魅力的な移動手段になります。

もし担当者が自転車を知らずママチャリの知識しかなく、 本来の自転車の可能性を理解できずにこの実証実験をやっているのだとしたら 悲しいことです。

現状では、こんな狭いエリアで使う理由を思いつかないです。

Hello Cycleの問題

もう一つはHello Cycleのシステムの問題です。

システムと言ってもアプリでなく、サービス全体の仕組みの話です。

一番致命的なのは返却です。

東京都場合は駐輪場の整理の問題はありますが、基本的には自分が希望した 自転車ポートに自転車を押し込んで返却することが可能です。ところが、 Hello Cycleでは駐輪場の枠をしっかり管理しており、返却は自転車ポートに 空いた枠がないと返却ができません。

やっと目的地について返却しようと思ったら、返却できないということが 起こりえるのです。もちろんアプリで返却可能かは確認できますし、 千葉の場合エリアにポートが密集しているのであまり問題ならないかもしれません。

しかし、アプリも数分状況の反映に時間がかかる場合がありますし、東京の 場合時間帯によって混むポートが決まってくるので、返却できないエリアは 常に空き枠がなく返却が困難になる可能性が非常に高いです。

今回の実証実験調達の 選定結果 を見てみると、OpenStreetは「安全・環境対策」の評点が高いので「違法駐輪対策」で 訴えたのでしょうか。

しかし、これではリスクが高すぎて使えませんね。 Hello Cycleは東京でももっと小規模に展開していますが、東京では小規模 過ぎて返却できないと大変なことになるので、使う気持ちにもなれません。

また、「予約」は危なくて使えません。

これは東京の場合も同じですが、予約する際に自転車のバッテリー残量が確認 できないため、「予約」して現地に行って乗ろうとしたらバッテリーがほとんど ないということがありえます。よって、いつも現地で自転車を確認してから しか利用できません。

メンテのためにバッテリー残量くらい送信してるだろうから、マップに表示する くらいの改善はやってほしいものです。

自転車の問題

東京のミニサイクルに比べ、車輪の大きな自転車なので自転車自体はいいんです。

問題はハンドル付近にある操作パネルです。利用開始時や返却時に必ず操作する必要 あります。

Hello Cycleの操作パネル

操作パネル

東京都の場合は、サドルの下についているので屈まなければならないのと比較すると ハンドルの上についているので、最初は好印象でした。液晶も大きい。

ところが、操作パネルの液晶にバックライトがないか非常に弱いため、日中日光が 当たっていると全く見えないのです。

しかも、キーの配置が数字キーが横に1〜6まで並び、よく使うであろうReturn キーが小さく、1キーと押し間違えが起こります。

一般的な電話のテンキーに利用開始、返却時に使うスタートキーとエンターキー をシンプルに配置した東京都の操作パネルの方が百倍使いやすいです。

まとめ

自転車ポートの増え方で評価も変わってくると思いますが、今の所 本当にヨーロッパの自転車先進国のように街の在り方や交通の在り方 まで切り込んで自転車を取り入れようという思想は全くなく、 あまり未来を感じない実験です。

自分の自転車があるので、もう使いません。

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