映画「モールス」
映画「モールス」をDVDで見ました。
原作は「 モールス 」という同じタイトルの小説です。
私は、この作品より前にスウェーデンで映画化された「 ぼくのエリ 」 の方を先に 見ました 。
ストーリー構成はほとんど同じですが、以下のような違いがあります。
スウェーデン版のオープニングは雪の中で主人公が引っ越してきた少女を見てるシーン から始まりますが、ハリウッド版の本作ではいきなり少女の下僕?の男が病院に運び こまれ死を遂げるシーンから始まります。
ハリウッド版では流血シーンは派手で血が飛び散りますが、スウェーデン版では 抑えられています。
ハリウッド版では少女がヴァンパイアとなるシーンは声が変わったり、CG が使われて たりしますが、スウェーデン版はそこまでの表現はなかったはずです。
劇中少女の「女の子じゃないの」という表現が何度か出てきます。スウェーデン版では 実は去勢された男の子だとわかります [1] 。ハリウッド版では日本版でカット された可能性がありますが、そもそも描写自体がありません。
雪の情景と「静」な描写、「小さな恋のメロディ」的な主人公と少女の恋、二人の 将来を暗示する少女と下僕のペドフィリア的主従関係など、スウェーデン版はそこに 描かれている以上の背景にあるストーリーを感じさせてくれました。
それもそのはずで、スウェーデン版は原作者自らが脚本を手がけて製作されたらしい です。
ハリウッド版は「静」の描写をパクリながら、ところどころに直裁的でセンセー ショナルな描写が差し込まれています。 丁度「キック・アス」で脚光を浴び始めたクロエ・グレース・モレッツ の演技が素晴らしいので、ある種の雰囲気を出すことに成功してはいます。 ですが、スウェーデン版のレベルとは程遠い出来栄えです。
マット・リーバスがスウェーデン版を見てリメイク権を獲得して製作されたらしい のですが、その才能には限界があったようです。
原作かスウェーデン版の 「 ぼくのエリ 」を見て、気に入ればこの作品も見る 価値はあります。この作品を最初に見てしまうと意味がわからないでしょう。