映画:アイアムアヒーロー
単行本を読んでいるので、映画「アイアムアヒーロー」を見てみました。
配役の妙
この映画ですごいなと思ったのは配役です。主人公の鈴木英雄役の大泉洋さんはなんとハマり役なのでしょうか。
35歳にもなってアシスタントを続ける全然目が出ない漫画家で、妄想癖がありヒーローに憧れクレー射撃を趣味とする主人公、そんなイメージにピッタリです。 うらぶれた感じやヒゲを伸ばした時のイメージもそのままです。
そして、英雄の彼女の徹子役の片瀬那奈さん。漫画のイメージからすると彼女ではいくらブサイクメイクをしても美しすぎます。が、清潔感のある彼女だけに、一転ZQNになった時の不気味さは衝撃的です。
早狩比呂美役の有村架純さんもイメージぴったりです。決して、きれいとまでいかない可愛さのある有村架純は原作通りです。早々とZQN化してしまうのですが、その魂の抜けたような演技も良いです。
中田コロリ役の片桐仁さんは本編では一瞬しか登場しませんが、これまた原作イメージ通りのキャスティングです。
唯一イメージと違ったのは小野つぐみ役の長澤まさみさんです。原作では正義感がありつつも、生きるために諦めている部分や生き抜きたいエゴ、醜さも秘めた人間臭いキャラに描かれています。 長澤まさみさんは決して演技も迫力があり、原作を知らなければ作品上問題ないのですが、原作を知ってるとやっぱり負の部分が描かれておらず生命力溢れる彼女のオーラは「ちょっと違うな」と思ってしまいます。
世界観は原作に忠実
今回描かれているのは、ZQNの蔓延するオープニングから富士のアウトレットモールの脱出するまで。原作でいうとごくごく序盤です。
比呂美との出会いや富士に至る過程など原作からかなりカットされています。これは時間の制約があるので仕方ない事でしょう。それでも原作の流れと雰囲気を壊さないようにうまく脚本をコンパクトにまとめていると思います。
ただ、英雄の妄想癖がほとんどカットされており、ヒーローに憧つつコンプレックスを持つ英雄の鬱屈した人生と世界の崩壊と反対にヒーローになっていく対比が描ききれていないことは残念です。
比呂美の同級生との下りもカットされており、比呂美が持つ悲哀とかがほとんど描かれていないのも残念な点です。
それでもこの映画は原作の世界をかなり忠実に再現しています。
圧巻はてっこのZQN化の下りです。原作で出てくるZQN化した大家さんなどは出てきませんが、前日まで普通だったてっこがZQNとなって迫り来る様子を新聞受け越しに見る英雄の視線での映像など本当に迫力があります。CGと特殊メイクで再現されたZQN化したてっこの顔と動きの再現性はこれだけで見る価値があります。
最後はそれまで使いこなせてなかった散弾銃でZQNを蹴散らし、車でアウトレットモールを脱出するところで本編は終わります。
ここまで出来が良いと、次回作を期待してしまいます。また、続編を同じキャストでお願いしたいですね。