プロジェクト診断のフレームワーク
とあるお客様自身が実施されているプロジェクト診断が必要になり、客観的な切り口での分析が必要ため、世の中にどんなプロジェクト診断のツールがあるか調査したまとめです。
ほとんどのツールはプロジェクトとしての最低ラインを前提としている
政府系やIPA、ITコンサルで「プロジェクト診断」や「プロジェクト自己診断ツール」を謳っているものは結構あります。ただし、前提としてプロジェクトの定量化がなされていて、プロジェクトのいろんなメトリクスが取得てきている前提で作られているものがほとんどです。
例えば、フェーズごとの機関や工数、検出した欠陥数やその混入フェーズ分析などがの定量化されたデータが存在するということを前提としているようです。
そういったデータを入力すると、一般的なプロジェクトのメトリクスからどれだけ乖離しているかが明確になり、課題の抽出につながります。
例えば、「プロジェクト規模からすると、要件定義のかける工数が少なすぎる」とか「基本設計での欠陥の検出数がプロジェクト規模に照らして適切でないので、もっと欠陥検出活動をするべきだ」などですね。
しかし、今のお客様はそもそもプロジェクト計画立案でお客様からダメ出しをされているのです。つまり、プロジェクトを定量化する仕組みやプロセスがあるかも疑問なんですが、そもそもプロジェクトデータが発生するところまでも行けいない状態です。
プロジェクト開始前ですでにプロジェクトの立て直しが必要となっている状態ですから、こういった診断手法は使えません。
定性的な診断しかない
こうなると定性的な診断を、エビデンスで客観的に捉えられる事実から積み上げていくしかありません。また、プロジェクトの開始すらできていないので、「プロジェクト診断」だけでなく「組織評価」も必要そうです。これらで適切なフレームワーク的がないかを調べてみました。
DICE
まずは、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)で提唱されたDICE Frameworkです。
これは、以下のような切り口からプロジェクトを評価するものです。
視点 | 説明 |
---|---|
Duration(D) | 計画上のマイルストーンの期間。間隔が長いほど管理が甘い。 |
Integrity(I) | チームのパフォーマンス。メンバーの要員数やそのスキル、士気など |
Commitment1(C1) | マネジメントのプロジェクトへのコミットメント度合 |
Commitment1(C1) | マネジメントのプロジェクトへのコミットメント度合 |
Effort(E) | プロジェクトに必要な努力量 |
組織の変革プロジェクトのようなものを想定しているようなので、SIerのITプロジェクトにそのままそぐわない部分もありますが、今回は良しとします。
これらをRatingして、
DICE=D+ 2xI + 2xC1 + C2 + E
という式でDICEスコアを計算して、14点以下であれば健全、14〜17点は懸念あり、17点以上だと危険領域という判断をするようです。
PMBOK
なんだかんだ言っても基本ですから、やっぱPMBOKですかね。PMBOKの10の知識エリアに従って、課題を整理するという方法です。
PMBOKの10の知識エリアとは、
- 統合マネジメント
他の9つの知識エリアを統合する。 - スコープ管理
プロジェクトの作業範囲の定義と管理。 - タイム管理
スケジュール立案や進捗管理など。 - コスト管理
プロジェクトを予算内で終わらせるための活動 - 品質管理
成果物の品質を確保するための活動 - リソース管理
チームメンバ管理活動 - コニュニケーション管理 ステークホルダー(プロジェクトの関係者、スポンサー、ユーザなど)とのコミュニケーション管理
- リスク管理 プロジェクト進行上のプラス・マイナス要因を管理する活動
- 調達管理
製品や外部要員などの手配の活動 - ステークホルダー管理
ステークホルダーを特定し、どのように関わるかを管理する活動
7S
そもそも今回はプロジェクトの開始すら切れていないので、プロジェクトというより組織に問題ありかということで、マッキンゼーの組織マネジメントのフレームワークとしてよく使われる 7Sも検討できるかと思っています。
- ハードのS(組織の構造に関するもの)
- 戦略(Strategy):組織としての戦略、方針
- 組織(Structure):組織の形態や構造
- システム(System):組織としての仕組み。
- ソフトのS(人に関するもの)
- 価値観(Shared Value):社員で共通認識を持つ会社の価値観
- スキル(Skill):組織としての能力
- 人材(Staff):人材の能力
- スタイル(Style):組織文化