攻めてるなぁ、日産
日産というメーカーにはそれほどいい印象はないんですが、最近の日産は攻めてますね。
可変圧縮比エンジン VC-T
2016年のパリモーターショーで、ガソリンエンジンとしては革新的な可変圧縮比の新エンジン「VC-T」を世界初公開しました。
乱暴な言い方をすると、エンジンは空気とガソリンをできるだけ圧縮して(圧縮比をあげて)、点火すると効率的に燃焼し出力も上がります。
ただし、圧縮比をあげていくとノッキングという異常燃焼が発生してしまいます。場合によってはエンジン自体が壊れてしまいます。
これを防ぐため、各社はこれを防ぐため冷却やいろんな仕組みを組み込んでいます。マツダのSkyActiveなんかもこの一種です。共通しているのは「エンジンの高回転まで回さない」というアプローチではないでしょうか。
今の燃費重視の風潮では、低回転でそこそこパワーが出ればパフォーマンスも十分だし燃費も良くなります。そうすると、自動車好きのおじさんにはつまらない高回転まで回らない低回転型で燃費重視のエンジンの出来上がりです。
ところがスポーティな車のようにパフォーマンスを求められる車ではきっちり高回転まで回す必要があります。ただ、時勢的にも燃費は求められますから、圧縮比をあげた効率化はどうしても不可欠です。
ここで可変圧縮比エンジンです。
低回転では圧縮比を効率よくパワーを出しつつ燃費を稼ぎ、高回転では圧縮比を下げ高回転まで回るようにしパフォーマンスを重視することが可能になります。さらに、ターボと組み合わせることで、低圧縮比でパワーをターボで補えるためおそらくとても相性がいいのではないかと思います。
圧縮比をあげつつそのデメリットを回避することに技術を注いでいた他のメーカーを飛び越えて、不要な時は圧縮比を下げるというブレークスルーを行なったこの技術は本当に素晴らしいです。
技術によっては「100年に一度の革新」と呼んでいるのも頷けます。
e-Power
新しいノートに「e-Power」と呼ばれる新しいEVの技術を投入してきました。
簡単にいうと、エンジンで発電してモーターを動かし車を走らせようというものです。
一般的には、「レンジエクステンダーEV」と呼ばれるものと思って良いと思います。
他のメーカーと異なるのは、以下の2点です。
- 他のメーカーはエンジンでの発電を補助的1とし、大容量のバッテリーを搭載し通常は外部から充電して走りますが、e-Powerは外部充電システムを持たずエンジンの発電のみで走ります。
- 他のメーカーは台数限定のテスト的な販売ですが、今回のノートはレギュラーモデルです。
このシステムにより、まだまだ普及してない電気自動車の充電ステーションをバッサリ切り捨てて通常の車と同じようにガソリンスタンドでの給油で日常的に運用できる「通常の車」にもかかわらず、リッター40Km以上という燃費を実現しているそうです。
長らく遊星ギアを使ったモーターとエンジンの出力を巧妙に統合したプリウス型のハイブリッドを燃費で抜くことは難しいと言われてきましたが、出力はモーター一本に絞って充電もガソリンエンジン一本に絞るというシンプルでボールドなアイデアの勝利ですね。
CM見ても自動運転などにうつつを抜かしているいい加減なメーカーにしか思えなかったのですが、さすが技術の日産ですな。
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レンジエクステンダー = 距離を伸ばすもの という言い方からもその考え方がわかると思います。 ↩