読了『毒見師イレーナ』

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Kindle版が安かったので購入した本。

殺人罪で死刑囚となった少女が、絞首台か国の最高司令官の毒見役になるかの選択を迫る場面から始まるファンタジーです。

安かったので暇つぶしに買ったのですが、最初はなかなか読みづらくページが進みませんでした。

前半は、暗くシリアスな印象です。
主人公は毒による死、犯した殺人の復讐による暗殺と常に死と隣り合わせの危険にさらされています。この状況がどう打開され、新しい展開になるのか、全く糸口が見えないため、読み始めると引き込まれるのですが展開が見えない苦痛で読むのが億劫になっていたのでした。

中盤からは、主人公は自分なりの意思を持ち、友を得て、戦い方を学びます。

そして、前半は中世の現実的なお話という雰囲気ですが、後半は一気にファンタジー色を強めていきます。後半は、一気に物語が進んでいく印象で、最後は冒頭の登場シーンからは想像もできない主人公がいます。

そして、いかにも少女的なロマンティックな香りも高まっていきます。 最初は垢だらけで、吐瀉物と汚物にまみれる主人公が、物語が進むにつれ、気がつくと一種のハーレム状態です。よく見たら、出版元は、あのハーレクインと同じところでした。

また前半と後半で一番印象が変わったのが、主人公に毒味役を与える暗殺者ヴァレクです。

最初わたしの持った印象は「50代近い細身の病的な男」でした。それが読み進めるうちに「あれ、もっと若い? たくましい?」と印象が変わっていきました。細かい描写を結構端折って読む方でありますが、こんなに読み違えることは珍しいんです。なんでだろう。

原書は『Poison Study』というタイトルです。

翻訳者の方は、原書で知って惚れ込んだらしいです。

その後、ブログで紹介し、著者とEメールを交わし、数年前には著者とも会い、「日本の読者にもいつか紹介したい」と語り合ってきたのでした。
ブログから著者と繋がり、ついに翻訳までしてしまったというファンタジー 『毒見師イレーナ』

本書は、『Studyシリーズ』と呼ばれる三部作の第一作目です。第二作は発売されており、第三作も近々リリースされるようですから楽しみです。

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