「VOLVO V40」という宗教
VOLVO V40の試乗をしてきました。グレードは上級グレードの T4 SE です。
外観はワイドで低く構えたスポーティーをこれでもかと意識させるスタイルで、造形もかなりエモーショナルでかっこいいです。最近のボルボのデザインは本当に良くなりましたね。Aピラーがかなり寝ていたりリアが絞り込まれてリアウィンドウが小さくなってたり、視界が悪いんじゃないかと心配になりましたが、まぁ安全装備が満載なので大丈夫でしょう。
インテリアも上質です。センターのコントロール類も「フリーフローティング・センタースタック」と言うのだろうか、他の車種と共通のデザインですが、メディア系やBluetoothを通じての携帯との連携まで上級車と見まごうばかりの装備です。シートは部分的に合革を使っていて座り心地もしっかりとしたもので疲れにくそうです。Cセグメントでこれだけの装備を考えると、Golf などより人気なのも分かります。
実際に走らせてみると、足回りもエンジンもかなりスポーティーです。
エンジンは1.6L のターボでいわゆるダウンサイジングしてエンジンですが、上級車種のV60なども同じエンジンを積んでいることから分かるようにV40だとかなりパワフルに走ります。最大トルクが1600回転から出ているので、街中でも余裕です。ただ、高回転まで回すと若干雑味が出てきます。
足回りはかなり固めで上級グレードだと17インチとなるので、人によっては振動が気になるかもしれません。スポーティーな部分で子の車を買う方はあまり気にならないと思いますが。
話題の安全装備は20万のオプションらしいですが、現在はモニターということで新車購入でもれなくプレゼントされるそうです。まぁ、一番の売りですからね、戦略的にプロモーションしたいのでしょう。
もうセンサーだらけです。前方100mと50mをミリ波で障害物検知をしています。そして、その情報をさらにインナーリアビューミラーの部分に取り付けられたCCDカメラと赤外線センサーを使って対象物を見分けて適切な対処をします。道路標識も認識して制限速度をメーター上に表示してくれます。
前方の障害物にノーブレーキで迫って行くと、ダッシュボードの赤いランプとブザーで警告してくれます。それでもブレーキを踏まないと、自動ブレーキが作動します。この辺りはスバルのiSightより進化した感じですね。さらに後方にもセンサーがあります。バック時はバックモニターも装備されていますが、後方の両脇から迫ってくる車があれば警告してくれます。車線変更時も後方から迫ってくる車があれば警告してくれます。もう視界がどうとかどうでもよいって感じでしょう?
ボルボという会社は一環して安全性を第一にアピールしてきた会社です。その安全性へのこだわりは日本にメーカーも見習うべきです。日本で自動ブレーキを最初に認可を通したのはボルボです。V40では最新のさらに洗練した自動安全システムが搭載されて、iSightよりも数年先を行っています。驚いたのはV40だけのオプションである歩行者用のエアバッグです。ボルボの車のボンネットはほとんどアルミ製です。これは軽量化という意味もあるでしょうが、歩行者とぶつかった時うまくつぶれるためです。V40だけに歩行者用エアバッグがついた理由は、V40のボンネットが他の車種より短いため歩行者の頭部がアルミのボンネットでカバーできずAピラーやフロントガラスを直撃する危険があるために用意されたものです。こんなメーカー、日本にありますか? 平気でボンネットの短い車作ってますよね?
V40はボルボの宗教とも言える安全性へのこだわりを最も端的に象徴したモデルです。
ただ、こんな電子機器満載の車、わたしはちょっと苦手ですが。