新衝突試験 Small Overlap Front Test
「ベストカー 6月5日号」の記事で『新衝突試験でトヨタ車ほかあの人気車が最低評価』を読んで、昨年末にIIHSから発表されて話題なったこの話を思い出した。
Small Overlap Front Testとはどんなテストか言うと、IIHSの定義によると以下の通りです。
以下、"Frontal offset test information"からの抜粋です。
a vehicle travels at 40 mph toward a 5-foot-tall rigid barrier. A Hybrid III dummy representing an average-size man is positioned in the driver seat. Twenty-five percent of the total width of the vehicle strikes the barrier on the driver side.
要はこれまでの60:40の衝突よりも浅い角度で衝突するケースを想定しています。これは正面衝突を避けようとして道路脇の木やポールへの激突というケースも多く死亡事故が防げていないためのようです。搭乗者は前方と斜めに飛ばされ衝撃を受けるため、ベルトやエアバックが用をなしてないというケースも多いとのこと。
IIHSは動画をYoutubeで公開しているので見てみましょう。評価がPoorだった中でも一番悲惨だったプリウスαの例です。
エアバックとサイドカーテンは開いていますが、衝撃の方向と車体の湾曲で頭はそれらをすり抜けてAピラーに激突しているように見えます。車体を上から見ると、衝突した部分は搭乗者の足下まで車体を破壊し食い込んでいて、フロントのボンネットごとひん曲がってしまっています。この角度だと左右のフロントサイドメンバより外側に衝撃が来るので、確かにテストとしては厳しくてドイツ車も軒並みPoorという評価になっていますが…… やっぱ、こんなヤワな車には乗りたくないです。
評価のよい車の動画を見ると、それらの車はなんらかの強度があるため直進せず衝突した反対側にそれてうまく衝撃を吸収しているように見えます。一番評価のよかったホンダのアコードなどは、Aピラーに高張力鋼板でなくホットプレス材を使っているため、そのまま正面で突っ込んで行き、Aピラーで衝撃を受けて止めて止まっています。大した物です。
愛するスバル車はというと、今回も横幅の広い水平対抗エンジンとそれを保持するメンバの強度がもともと強いため、最良の評価は逃しましたがよい評価を受けています。ドアミラーの根元まで障害物が食い込んでいるようですが、エンジンブロックの強度で障害物がそれに阻まれて外側に逃げています。斜めにえぐれていますが、フロントの変形はほとんどありません。搭乗者は正面のエアバックにきちんとぶつかっており、頭がサイドに振られることありません
車の安全は、iSightやVDC,ABSなど車を制御不能の状態にせず衝突に至らせないという技術もあり、衝突テストだけで車の安全性を比較できるものではありません。しかし、それらの技術をもってしても完全に事故を防げない以上、わたしは最終的に激突することになった時、少しでも安心できる車に乗りたいです。プリウスには絶対乗りません。