すぐに始めるAWS Certified AI Practitioner対策ガイド
10月のSAA再認定 に続いて、[AWS Certified AI Practitioner]を取得しました。
今回まだ認定が始まってまもないということで、"Early Adopter"のバッチも発行さ れました。
所詮初学者レベルですが、今年の8月から新たに追加された認定資格であまり情報も 出回っていないと思いますのでまとめておきます。
出題範囲と対策のポイント
以下の出題範囲と、私がここは気をつけて理解し覚えておいたほうがよいと感じた内容を 『対策のポイント」としてまとめました。 少し冗長ですが、参考までに見てください。詳細はAWSの「 AWS Certified AI Practitioner (AIF-C01)試験ガイド」を参照してください。
1. AI と ML の基礎 (20%)
出題範囲
- AI、ML、深層学習の基本概念と違い
- AIの実用的なユースケースとその判断基準
- ML開発ライフサイクルの各ステップ
- AWSのマネージドAI/MLサービスの特徴と使用方法
対策のポイント
-
基本概念の明確な区別
- AI vs ML vs 深層学習の違い
- 教師あり学習、教師なし学習、強化学習の特徴
- バッチ推論とリアルタイム推論の違い
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データタイプの理解
- 構造化データと非構造化データ
- ラベル付きデータとラベルなしデータ
- 時系列データ、画像データ、テキストデータの特徴
-
AWSサービスの使い分け
- Amazon SageMakerの基本機能
- Amazon Transcribe/Translate/Comprehend/Lex/Pollyの用途
- 各サービスの一般的なユースケース
2. 生成 AI の基礎 (24%)
出題範囲
- 生成AIの基本概念(トークン、埋め込み表現など)
- 生成AIモデルの潜在的なユースケース
- 生成AIの可能性と限界
- AWSの生成AIサービスとインフラストラクチャ
対策のポイント
-
基礎概念の理解
- トークン化とチャンク化の仕組み
- 埋め込み表現とベクトルの意味
- トランスフォーマーベースのLLMの基本原理
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生成AIの特性
- メリット:適応性、応答性、シンプルさ
- デメリット:ハルシネーション、解釈可能性、不正確さ
- 適切なユースケースの判断基準
-
AWSサービスの知識
- Amazon Bedrockの基本機能
- SageMaker JumpStartの活用方法
- PartyRockの特徴と用途
3. 基盤モデルの応用 (28%)
出題範囲
- 基盤モデルの選択基準
- プロンプトエンジニアリング手法
- RAG(検索拡張生成)の実装
- モデル評価手法とメトリクス
対策のポイント
-
モデル選択の判断基準
- コスト、モダリティ、レイテンシー
- モデルサイズと複雑さ
- 入出力の長さ制限
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プロンプト設計の原則
- プロンプトの構造と構成要素
- ゼロショット、フューショット、チェーンオブソート
- ネガティブプロンプトの活用
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パフォーマンス評価
- ROUGE、BLEU、BERTScoreの意味
- ビジネスメトリクスとの関連付け
- 人間評価の重要性
4. 責任ある AI に関するガイドライン (14%)
出題範囲
- 責任あるAIの特徴と実装
- 透明性と説明可能性の確保
- バイアスと公平性への対応
- データセットの特徴と影響
対策のポイント
-
責任あるAIの原則
- バイアス、公平性、包括性
- 堅牢性、安全性、信憑性
- モデルの透明性と説明可能性
-
品質管理の方法
- データセットの包括性と多様性
- バイアス検出と軽減手法
- モデルのモニタリングと評価
-
AWSツールの活用
- Amazon SageMaker Clarifyの機能
- Amazon A2Iの用途
- Model Cardsの作成方法
5. セキュリティ、コンプライアンス、ガバナンス (14%)
出題範囲
- AIシステムの保護方法
- データガバナンス戦略
- コンプライアンス規制の理解
- セキュリティとプライバシーの考慮事項
対策のポイント
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セキュリティの基本
- AWS責任共有モデル
- IAMロールとポリシー
- 暗号化(保管時と転送時)
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コンプライアンス対応
- 規制基準(ISO、SOC)
- データリネージの追跡
- 監査ログの設定
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ガバナンスフレームワーク
- ポリシーとレビューサイクル
- モニタリングと観察
- チームトレーニング要件
学習リソースとアドバイス
まず、現時点では試験は英語版しかありません。 従って基本的には英語での学習が必須です。
結果的には英語で学習した方が効率的です。 例えば、試験の際に「Reinforcement Learning」と言う用語は「"強化学習"なのね」などと変換していると覚えることが倍になります。 シンプルに用語を英語のまま理解したほうが、負担も少ないと思います。
学習するリソースについては、AWSが学習プランをSkill Builderに用意してくれています。これにそって、以下のように学習していくのが正攻法でしょう。
- AWSの公式ドキュメントとチュートリアルを活用
- ハンズオン実習で実践的な理解を深める
- 模擬試験で出題傾向を把握し、弱点を補強
- サービス間の関連性を意識して学習を進める
私はあまり時間がなったので、Udemyの「【Practice Exams】AWS certifed AI Practitioner - AIF-C01」だけで学習しました。
Udemyのこのコースでは認定試験相当の65問の模擬テストが4つ提供されています。 模擬テストには正解も解説も有ります。すべて英語です。私は次のように学習しました。
- まずは一通り自分で問いてみて、理解度を確認する。
- 解説を読みながらアウトライナーに問題を書き写していく
- AnthropicのClaude1に各問題を投げつけて、次のような内容を日本語でまとめさせる。
- 問題の大意
- 正解とその理由
- 他の選択肢が間違っている理由
- 問題の原文をClaudeにまとめさせた要約を補助的に見て理解を深めていく
- 模擬テストをやってみて、間違った部分は 4に戻って繰り返す。
Udemyの回答にも詳細な解説がありますが、 Claudeで日本語の要約を作っているのは、原文理解の補助として使い時間を節約するためです。 そのために要約を作る際には以下のような点を留意しました。
- なるべく簡潔に要約させる。例えば、私は文字数制限を設けました。
- 解説の中の選択肢や用語、サービス名は英語を使う。日本語訳になると原文と結びつかないためです。
- 回答はUdemyの正解と突き合わせる。Hallucination対策ですね。
AWS Certified AI Practitioner取得の価値
ChatGPTを中心に社会実装が加速している感がありますが、企業のAIプロジェクトの 場合は基盤となるクラウドインフラを提供するベンダーがAWSとなるケースも多く、 ChatGPTに比するエンジンを持ち包括的なAIソリューションを持っているAWSがAI領域 でも選定されるケースが多いので、その資格を持っていることには意味があると思い ます。
6ヶ月程度のAI/ML経験があれば取得可能で、プログラミング経験は必須ではありません。AI/MLプロジェクトに関わる技術者だけでなく、プロジェクトマネージャーやビジネス担当者にとっても、実際のシステム構築・運用に即した知識を得られます。
世界標準のAWSによる認定は、AI/MLプロジェクトの設計・実装における確かな基礎知識の証明となります。今後のAI活用において重要となるセキュリティやガバナンスも含めた実践的な知識を体系的に学べる点で、投資対効果の高い資格だと思います。
2025年02月15日までは再試験が無料となっていますから、がんばって受験しましょう。
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たまたま使っているだけで、ChatGPTでもGeminiでもよいと思います。 ↩