読了『世界はなぜ地獄になるのか』

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昨年購入して放置していた本『世界はなぜ地獄になるのか』。

橘玲氏らしい考察で納得できる本でした。 なぜ、SNSの中心とした最近の社会がキャンセルカルチャーを生み出し罵詈雑言が飛 び交う「地獄」になるのかよく理解できます。

豊かな社会が生み出したもの

第二次世界大戦後、科学技術の進歩や安定した社会の到来により「とてつもなく豊か で平和な時代」が到来しました。結果、人々の自由は増して「自分らしく生きる」という価値観が主流となりました。

「自分らしく生きる」という価値観は同時に「私が自分らしく生きるなら、他人も同 じ権利を保証されなければならない」という主張を生みます。これが「リベラル化」 と呼ばれています。

リベラル化は社会に浸透するに従い、人種や性別など遺伝による格差が大きくなることが行動 遺伝学などの研究によって示されています。ところが、

リベラルを自称するひとたちは多くの基本的なことを間違えているが、そのなかでももっとも大きな勘ちがいは、「リベラルな政策によって格差や生きづらさを解消できる」だろう。なぜなら、そのリベラル化によって格差が拡大し、社会が複雑化して生きづらくなっているのだから。  

橘玲. 世界はなぜ地獄になるのか(小学館新書) (p.15). 株式会社小学館

総じて、この誤解がキャンセルカルチャーを生み出し、世の中を地獄に変えていると いう主張です。

地雷原には近づくな

J.K.ローリングの例を見てもわかりますが、 対処方法は人種、性差などの炎上しやすいテーマは地雷原とし「近づかないこと」。

科学や社会の進歩で「自分らしく生きれるリベラルな社会」という天国(ユートピア)を生む 一方でそのリベラルがキャンセルカルチャーという地獄(ディストピア)を生むなら抜 け出す方法がなく、ただただ地雷に近づかないというのは道理ですね。

まとめ

上記のような考えの元に、 ポリコレ、芸術と社会正義、現代の格差、人種や性差などで炎上する仕組みが解明さ れています。

結論は身も蓋もないものですが、この救いのない世界を正しく理解し地雷を踏まない ためには一読したほうがよい本です。

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