書評:64(ロクヨン)

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わたしは見ていませんでしたが、この作品を原作としたドラマがNHKでやっていたそうです。こちらはピエール瀧さん。演技を見たわけではありませんが、バラエティの印象が強くて笑ってしまいそうです。また映画も予定されており、こちらは佐藤浩市さん、かっこよすぎです。

作品自体は、昭和64年に起こった未解決の誘拐殺人事件を発端として、警察内部の紛争と事件に関わる様々な人の生き様が描かれています。個人的には、父親として、夫として、刑事として、広報官として必死で踏ん張っている主人公が世代的に同じ世代なので、ものすごく感情移入してしまいました。

かつっては刑事としては一流だった主人公も、広報官というアウェイな環境で右に左に揺れ翻弄されます。時に諦め、時に踏ん張り、まるで一貫性がなく、全然カッコよくありません。むしろ無様です。

それでも、そんな必死な50代の男の姿はものすごいリアリティを持って同世代として響くものがあります。

この作品は作者が2000年くらいから取り組み始めたようです。が、病気で倒れて、ストーリーに納得がいかず連載を中止したり、書き下ろしで完成させてまた納得がいかず出版を取りやめたりしながら、近年は記憶障害に悩まされながら今回全面改稿した作品とのことです。

さすがに鬼気迫るものがあります。

Kindleで読み始めて、上下巻のページ数に最初はちょっとたじろぎましたが二日で読み終えてしまいました。

警察ものが好きならば、いや好きでなくても、読むべき作品です。

映像化されるなら、宇梶剛士さんあたりがはまり役じゃないかと思うんですが。

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