Ulysses III
愛用していた統合執筆環境のUlyssesがリニューアルされました。
以前The Soulman社から直接購入したのですが、現在はMacApp Storeのみでの販売になっています。アップグレードが効かない代わりにかなりリーズナブルな価格となりました。
今回はスクラッチで作り直したようで、使い勝手がかなり変わりました。
統合ライブラリ
Ulyssesは単なるエディタでなく執筆環境なので、ターゲットのドキュメントを仕上げるのに必要な複数のテキストをまとめて扱うことができましたが、ターゲットのドキュメントごとに1つのファイルを作成するというスタイルでした。
Ulysses IIIでは扱うすべてのドキュメントは1つライブラリで管理されます。論文Aと随筆Bを同時に執筆してる場合、以前は2つファイルに分けて管理されていましたが、Ulysses IIIでは統合ライブラリ内に両方が格納されています。Ulysses内ではテキストはSheetという単位で分かれます。論文Aと随筆Bに必要なSheetは、Groupという機能を使ってそれぞれのまとめられることになります。
機能としては、iPhotoなどでおなじみの考え方です。このためUlysses IIIを起動すると過去に執筆したもの、現在執筆中のものがすべてライブラリ一覧に表示されます。これをメリットと見るか、執筆中のドキュメントに関係ないものが表示されるデメリットと感じるかはユーザーによるでしょう。
一番の変化は、このコンセプトの変更により「ファイル」という概念がなくなり保存場所を気にする必要がなくなりました。また個別のドキュメント「保存」するという考え方もないので、そういったオペレーションからユーザーは解放されます。
次いで、iCloud統合です。先に書いたようユーザーは統合ライブラリになったことで、ドキュメントの保存場所を気にする必要がなくなりました。そして、iCloud統合をオンにしておくと、統合ライブラリはiCloudに格納されるので、複数のMacで常に同期させながら作業が可能となります。
Daedalus統合
Daedalus TouchというiOSのテキストエディタがあります。このDaedalus TouchとiCloud経由で同期し統合できる機能が追加されました。
Daedalus Touchは、ドキュメントという考え方がなくすべては「紙」で、紙が積み上がった「スタック」があるまとまりのある紙を表しています。「紙」をSheet、「スタック」をGroupと考えるとUlysses IIIのライブラリの考え方に近いものになりますから、そのままの考え方で管理できるというのもうなずけます。
「紙」を模した変わったインターフェイスの面白さに惹かれてわたしも購入していましたが、あまり使用していませんでした。これからはこの連携で使用頻度があがるかもしれません。
Writing is not Publishing
Ulysses の哲学は以前のバージョンから一貫して
Writeing is not Publishing です。Ulysses内では「書く」ことだけにフォーカスし、Microsoft Wordのように書きながらフォーマットやフォントなどを扱わないということです。
このためUlysses 内では、プレーンテキストしか扱いません。ただし、文章内での意味付けのために Markup言語を使うことができます。これらはエクスポート時に処理され、結果としてフォーマットに反映されます。
Ulysses III markup
Ulysses III ではMarkdownとTextileがサポートされますが、デフォルトはMarkdown XLです。これは拡張版のMarkdownですが、Markdown Extraとも異なるUlysses III独自の拡張のようです。
このMarkdown XLによりプレーンテキストでありながら、構造的な文章やリンク、アノテーションの埋め込みだけでなく、イメージや動画の挿入も可能になっています。
まとめ
以前のバージョンからかなり変わってしまったので、最初は面食らいましたがほとんどは慣れの問題で、ドキュメントに対する哲学は一貫しておりさらに強力なツールになっています。同様のアプリにScrivenerもありますが、論文など論理的な長文を執筆される方はUlyssesのほうが合っていると思います。
ちなみにこの記事もUlysses IIIを使って書きました。